高水準ではないが、低水準でもないぞ! オモダE5 個性の薄い容姿 不満のない走り 強者の好敵手に?

公開 : 2024.05.03 19:05

中国のチェリーが立ち上げた新ブランド、オモダが英国で販売するE5 BYDのバッテリーで航続413km 203psで走りに不満なし 車内には高級感 英国編集部が評価

BYDのバッテリーで航続413km 見た目の個性は薄い

また新しい自動車ディーラーが、英国に増える。今回試乗したオモダは、中国のチェリーが立ち上げた新ブランド。電動コンパクトSUVの「E5」と、ガソリンエンジンで走る「5」で上陸が始まる。

ボディサイズは全長が4424mmで、全幅は1830mm、全高が1588mm。競合するのは、フォルクスワーゲンID.3ルノーメガーヌ Eテック・エレクトリック、MG 4 EVなどだろう。

オモダE5 ノーブル(プロトタイプ/英国仕様)
オモダE5 ノーブル(プロトタイプ/英国仕様)

英国での価格は、ベースグレードで3万3500ポンド(約643万円)から。トップグレードでも3万5500ポンド(約682万円)となり、装備も充実しているから、机上での競争力は低くない。

駆動用バッテリーは、BYDのリン酸鉄リチウム・ユニットを採用。これは高効率なことが特徴で、額面61.4kWhに対し、60.4kWhの実用量がうたわれる。駆動用モーターは203psを発揮し、フロントアクスルを駆動。航続距離は413kmが主張される。

今回の試乗は、気温が高めの天気で高速道路が中心だったが、365kmほど走れることを確認できた。急速充電能力は、最大80kWと早くはない。10-80%の補充に、約40分必要になる。

スタイリングの印象は見る人に依存すると思うが、筆者は全然悪くないと感じた。シャープなライン構成でスタイリッシュ。欧州のトレンドにも、合致するように見える。

ただし、オモダらしい個性は薄い。トヨタやルノー、ヒョンデプジョーなどのデザイン要素が、散りばめられているようにも感じる。どのブランドのモデルなのか、イメージしにくいともいえる。

適度に高級感あるインテリア 少し凝りすぎ?

インテリアも悪くない。適度な高級感があり、ヒョンデやキアのユーザーが見ても、納得の水準にある。ただし、トップグレードのノーブルへ与えられた内装は、接着剤のような匂いを放っていた。

スピーカーのグリル部分はクロームメッキされ、プラスティック製パネルには細かい波のようなテクスチャが与えられている。細部まで気が配られているが、少し凝りすぎにも感じられた。

オモダE5 ノーブル(プロトタイプ/英国仕様)
オモダE5 ノーブル(プロトタイプ/英国仕様)

スマートフォンのワイヤレス充電パッドは、2面あり便利。充電中の加熱を防ぐ、通気口も設けられている。センターモニターの明るさを、個別のパッドで変更できるのも有用だろう。

一方、ステアリングホイールにはオーディオ用のタッチセンサーが備わるが、明るい状態でヘッドライトを点けると、バックライトが点灯しないようだった。雨天時は、手探りするしかない。

ダッシュボード中央には、12.3インチのタッチモニター。メーター用モニターと一体のパネルに収まる。まだ最終仕様ではないということだが、グラフィックは粗めで、メニューを辿りにくく、ソフトウエアは前世代のデザインに思えた。

運転支援システムの変更には、3〜4回タップする必要がある。ホーム画面のアイコンは、小さくて触れにくい。フォルクスワーゲンのシステムの方が、まだ使いやすいと思うものの、アップル・カープレイとアンドロイド・オートには対応する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事