高水準ではないが、低水準でもないぞ! オモダE5 個性の薄い容姿 不満のない走り 強者の好敵手に?

公開 : 2024.05.03 19:05

荷室は狭め 0-100km/h 7.6秒の不足ない動力性能

リアシートの広さは、このクラスの平均程度。身長180cmくらいの大人でも座ることはできるものの、足元や頭上の空間に余裕があるとはいえないだろう。

荷室容量は292Lと狭いが、床下の収納はカウントされていないのかも。数字としては小さなハッチバック並みだが、フロアのパネルを持ち上げると、意外と大きい空間が現れる。しかも、フルサイズのスペアタイヤも載っている。使い勝手は悪くなさそうだ。

オモダE5 ノーブル(プロトタイプ/英国仕様)
オモダE5 ノーブル(プロトタイプ/英国仕様)

フロントのボンネット下にも、収納が用意されている。充電ケーブルをしまうのには、少し小さいようだが。

さて、確認はこのくらいにして運転してみよう。車重1710kgに203psだから、5Eは電動ファミリーSUVとして不足ない動力性能を備える。0-100km/h加速は7.6秒だ。アクセルペダルを目一杯踏んでも、フロントタイヤが鳴くことはなかった。

全体的にスムーズで、必要に応じて充分なパワーを引き出せ、運転しやすい。交差点でステアリングを切りながら鋭く加速させても、進路が乱れるようなトルクステアもない。

回生ブレーキは、1番弱いモードが扱いやすいと感じた。効きを切り替えるには、わざわざタッチモニターを触れる必要があり、1段強くするとアクセルレスポンスに違和感が出る様子。直感的ではなく、ギクシャクした減速感になってしまう。

ブレーキペダルを踏まずに止まる、ワンペダルドライブには対応しない。周囲の交通状況に合わせて変化する、アダプティブ・モードもない。

走りに目立った不満はなし 装備充実でコスパ高し 

E5のボディの位置は高めで、不快に感じるほどではないものの、カーブでは明確に左右へ傾く。高速道路や峠道をキビキビ運転するというより、ゆったり気ままに流すようなスタイルを前提にしている。

ステアリングホイールは軽く回せる。路面からの感触は薄いものの、反応は正確で予想しやすい。スポーツ・モードを選ぶと、僅かに重さが増す。

オモダE5 ノーブル(プロトタイプ/英国仕様)
オモダE5 ノーブル(プロトタイプ/英国仕様)

乗り心地は、市街地の低速域では細かい揺れが目立つ。高速域になれば、しっとりしてくる。履いていたタイヤはクムホで、18インチの扁平率55だった。

総合的に見て、E5の走りで不満に感じるような部分はないといえる。感心するほどの高水準ではないが、決して低水準でもない。

E5は、価格に見合った仕事をしっかりこなす電動SUVだと思う。プロトタイプではあったが、エネルギー効率は低くない。流れの速い郊外の道では適度な安心感があり、傷んだ路面を通過しても、ダンパーの設定を変更したいと感じないほど快適でもあった。

そして、コストパフォーマンスが高い。上級グレードを選べば、基本的な装備のほか、パノラミック・ガラスルーフや360度カメラなども付いてくる。英国のこのクラスには、MG 4 EVという強者がいるが、好敵手になる予感がする。

◯:秀でたコストパフォーマンス 安定した走り フルサイズのスペアタイヤ
△:荷室が狭め 扱いにくいタッチモニター 低速域での乗り心地

オモダE5 ノーブル(プロトタイプ/英国仕様)のスペック

英国価格:3万5500ポンド(約682万円/予想)
全長:4424mm
全幅:1830mm
全高:1588mm
最高速度:172km/h
0-100km/h加速:7.6秒
航続距離:413km
電費:6.4km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1710kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:60.4kWh(実容量)
急速充電能力:80kW
最高出力:203ps
最大トルク:36.4kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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