名前変われど揺るがぬ「隠れ指標」の2ドアクーペ メルセデス・ベンツCLEクーペをテスト

公開 : 2024.04.20 11:05

再出発が意味するものとは

直4の2LターボはISGそして9速トルコンATと組み合わされる。出足のクリープ現象は控えめに抑えつつも、アクセルへの反応は鈍すぎない。ジェントルだが唐突でない発進マナーは、歩道手前の一時停止とかいった街乗り状況でも扱いやすい。

MHEVというライトな電動パワートレインながら、従来的なICEよりタッチの部分での上質化、制御が着々と進んでいるのだ。

メルセデス・ベンツCLE200クーペ
メルセデス・ベンツCLE200クーペ

オプション装備だが、最小回転半径を5.2mから5mに抑えるリアステア機能にも不自然な感覚がなく、街中での取り回し易さを下支えしてくれる。

試乗車は可変シャシーのダイナミックボディコントロールサスペンションをオプション装着していた。首都高に入るとスポーツモードの出番。20インチの35扁平タイヤなのにダンピングが跳ねずバタつかず、脚がほどよく締まる感覚は、RWDで車重1800kgという基本骨格の良質さ、外連味なさによるとこが大きい。

CLEクーペのトップバッターにして初出のMHEVである本モデルには「出汁」のよさからひと手間かけて澄ませた、そんな旨味がある。

「大人のクーペ」というは易し。でも格付けランキングや多機能スマート化から一歩引いた上品さで「大人ぶりたいお子さま」には無理がある。だから全長4850×全幅1860×全高1420mmというサイズながら、これは「小さな高級車」でもある。

日常的な使い勝手に対して優雅なクーペ1台で折り合える、そんな暮らしやスタイルに漠然と憧れをもたらしてくれるだけでも、CLEクーペ・スポーツのほどよくスノッブで優雅な余韻は、貴重なのだ。

試乗車のスペック

価格:850万円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4850×1860×1420mm
燃料消費率:14.5km/L(WLTC)
駆動方式:FR
車両重量:1760kg
パワートレイン:直列4気筒1997cc+ターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:204ps/5800rpm
最大トルク:32.63kg-m/1600~4000rpm
電動機種類:交流同期電動機
定格出力:10kW
最高出力:17kW/1500~3000rpm
最大トルク:20.90kg-m/0~750rpm
蓄電池種類:リチウムイオン電池
ギアボックス:9速オートマティック
タイヤサイズ:245/35R20(フロント)275/30R20(リア)

メルセデス・ベンツCLE200クーペ
メルセデス・ベンツCLE200クーペ

記事に関わった人々

  • 執筆

    南陽一浩

    Kazuhiro Nanyo

    1971年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。ネコ・パブリッシングを経てフリーに。2001年渡仏。ランス・シャンパーニュ・アルデンヌ大学で修士号取得。2005年パリに移る。おもに自動車やファッション/旅や食/美術関連で日仏独の雑誌に寄稿。2台のルノー5と505、エグザンティア等を乗り継ぎ、2014年に帰国。愛車はC5世代のA6。AJAJ会員。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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