オススメできない理由がない! 新型フォルクスワーゲン・ティグアンへ試乗 アウディに見劣りしない車内

公開 : 2024.05.04 19:05

ディーゼルに代わる有能なプラグインHV

英国仕様のエンジンは多様。マイルド・ハイブリッドのガソリンが2種類に、プラグイン・ハイブリッドが2種類、ガソリンターボが2種類、ディーゼルターボが2種類だ。

その内、ディーゼルターボはトルクが太く安楽。高速道路では、7速デュアルクラッチATの変速を最小限に留め、平穏なクルージングで遠くを目指せる。高回転域では、ザラ付いたノイズが聞こえるけれど。

フォルクスワーゲン・ティグアン(3代目/英国仕様)
フォルクスワーゲンティグアン(3代目/英国仕様)

低い速度域では、ATが変速をためらう場面があり、交差点からの発進時などでもたつくことはある。そんな時は、左側のシフトパドルを弾けば解決できる。

プラグイン・ハイブリッドは、ディーゼルターボに代わる有能な選択肢。最高出力は203psか271psを選べ、どちらも電気だけで99km走行可能。今回は後者を試したが、充分以上にパワフルなことを確認できた。

燃料タンクを小さくした空間へ駆動用バッテリーが載るため、荷室容量への影響はなし。車重も重すぎず、カーブでの安定性も高いと感じた。

内燃エンジンと電気モーターの協調性も良好。エコ・モードを選ぶと、可能な限り電気だけで走ってくれる。スポーツ・モードでは、ガソリンを燃やす機会が増える。

アクセルペダルを踏み込むと確かに速いが、エンジンの回転も相応に高まる。ちょっと上質さに欠け、ノイズは耳障りかもしれない。

最高出力150psの1.5Lのマイルド・ハイブリッドも、高負荷時の印象は同様。とはいえ、基本的には静かで滑らか。長距離ドライブも快適にこなせるはず。不足なく力強く、効率も悪くない。

洗練性と敏捷性を大幅に向上したシャシー

3代目で注目ポイントのもう1つが、シャシーの進化。2バルブ内蔵のダンパーが組まれ、フォルクスワーゲン・ゴルフ GTIも採用するビークル・ダイナミクス・マネージャーと呼ばれる電子制御と統合され、洗練性と敏捷性が大幅に向上している。

ドライブモード次第で、15段階も設定の幅があるとのこと。タッチモニターのメニューで、細かく指定することもできる。

フォルクスワーゲン・ティグアン(3代目/英国仕様)
フォルクスワーゲン・ティグアン(3代目/英国仕様)

コンフォート・モードが最もソフトで、フレッシュなゴムを挟んだように、傷んだ路面を適度な締りと快適性で通過してみせる。ロードノイズも小さく、石畳でも快適。ファミリーSUVの車内へ、プレミアムな雰囲気が漂う。

同社の技術者は、古いシトロエンのように、魔法のじゅうたん的な乗り心地は狙わなかったという。路面へ追従しつつ、快適性を高めることが目標だったとか。

かくして、乗り心地はしなやかでありつつ、うねるほどではない。ボディロールは見事に抑制されている。むしろ、スポーツ・モードを選ぶ必要がないほど。仕事に疲れたお父さんが、1人で家路を急ぐときなどは、そのモードが良いかもしれないが。

ただし、ダンパーを1番引き締めても、ゴルフ GTIに化けるわけではない。コーナーでは身体が左右に振られ、高めの重心位置を実感させる。

コンフォート・モードのまま、英国郊外の道を飛ばしてみたが、適度に浮遊感のある乗り心地は安定してもいる。カーブでボディは多少傾くものの、不安なほどではなく、正確で好反応なステアリングが運転する自信を高めてくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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