ミニ・カントリーマン 詳細データテスト ミニらしく活発 SUVらしからぬタイトな挙動 車体は大柄

公開 : 2024.04.27 20:25

走り ★★★★★★★★☆☆

エントリーレベルのカントリーマンCに搭載されるガソリンエンジンは、3万ポンド(約573万円)級のファミリー向けSUVとしてはアベレージを多少上回るパワーとトルクを発揮する。やや湿ったコースコンディションでの0−97km/h加速は9秒をわずかに切り、競合車種のエントリーエンジン搭載車よりやや元気なところを見せる。

ただし単独で見れば、じつに平凡なパワートレインだ。加速はとりたてて鋭くエネルギッシュというほどではないが、パワー不足で弱々しいわけでもない。十分な速さとイージーで優れたドライバビリティが備わるが、おそらくカントリーマンSへの上級移行の検討を妨げるほどではない。

3気筒のエントリーグレードとしては十分にパワフルだが、上位グレードとの棲み分けはしっかりできる程度にわきまえたパフォーマンスだ。
3気筒のエントリーグレードとしては十分にパワフルだが、上位グレードとの棲み分けはしっかりできる程度にわきまえたパフォーマンスだ。    MAX EDLESTON

3気筒エンジンは静かで、遮音も効いている。回転数が上がれば、存在を知らせる程度の作動音が耳に届くが、プレミアムモデルにふさわしくないほどではない。

ドライブラインのコントロールはシンプル化されている。シフトポジションはマルチメディア画面下の小さなレバーで選択。ギアボックスにはSモードがなく、シフトパドルが標準装備されていないので、ギアを固定しての加速データが計測できなかった。しかし、低いレシオをキープするLモードがあり、登坂やオーバーテイクなどの際に使用できる。

路面が湿ったコンディションでさえ、オプションの19インチタイヤが生むトラクションは、フルパワーで発進してもスリップやESPの介入がほぼないほど。7速DCTの変速はなめらかで、ATだと勘違いするかもしれない。

ブレーキは、冷えている内はややオーバーアシストでガツンと効いてしまうようなペダルフィール。しかし、システムが温まるにつれ、徐々に改善される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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