キドニー・グリルからキンクまで 「BMWらしいデザイン」とは何か 8つの特徴を紹介

公開 : 2024.04.24 18:05

BMWを「BMW」たらしめているデザインとは何だろうか? キドニーグリル、ホフマイスター・キンク、ズィッケなど、8つの特徴的なデザイン要素を紹介する。

BMWを象徴するデザイン要素

「わたしがBMWを好きなのは、細部にも物語やちょっとしたロマンがあるからです」と語るのは、自動車設計エンジニアから作家に転身したスティーブ・サクスティ氏だ。

「BMWは、一般の人が想像するような典型的な冷たいドイツ企業とは違います」

どのようなデザインがBMWをBMWたらしめているのだろうか。
どのようなデザインがBMWをBMWたらしめているのだろうか。

サクスティ氏は、BMWのPSD(プロポーション、サーフェシング、ディテーリングの略)について話してくれた。

「自動車デザインには、特徴的なディテールを施せば “そのブランドになる” という誤解があります。まず、クルマのプロポーション(P)を考えなければなりません。プロポーションはクルマのタイプだけでなく、国の文化などさまざまな要因によって決まります」

「例えばイタリア車は、ドイツ車の四角い顎のようなスタンスよりも、矢のような形のフロントを持つ傾向があります」

続いてサーフェシング(S)とは、クルマが個々のブランド・キャラクターや独自性を獲得し始めることだという。

「BMWはこれに対して実に革新的なアプローチをとってきました。Z4で話題となった “炎” のような表面処理もそうですが、ツェッペリン飛行船に影響を受けたE60型5シリーズの処理も興味深いですね。スキンがフレームに吸い着くようなデザインです」

「残念なことに、このアイデアを担当した若いイタリア人デザイナーはまもなく白血病で亡くなりました。E60は彼のビジョンへのオマージュと言っても過言ではありません」

そしてディテール(D)へ。サクスティ氏は、BMWはデザインの特徴を必要なときに控えめに使い、適応させていると指摘する。

「もしグリルが進化しなかったら、どれも同じ鼻孔を持つことになるでしょう。グリルはBMWをスタイリッシュで前衛的なものにしている要素の1つなのです」

ここでは、サクスティ氏が特に魅力的だと評する、BMWのデザイン・ディテールを8つ紹介する。

キドニー・グリル

「最近はBMWの巨大なグリルについて話題になっていますが、1930年代初期のBMWでも同様に巨大な縦型グリルがついていました」

「グリルは縦でも横でも構わないのですが、ヘッドライトとの関係がサイズと全体のスタイルを決定するカギとなります」

キドニー・グリルはBMWの最も象徴的なデザインだろう。
キドニー・グリルはBMWの最も象徴的なデザインだろう。

「グリルやライトの内部、周辺のディテールもまた、個性を決める要素です」

「しかし、グリルの部品点数が250点にもなることから、BMWはよりシンプルなデジタル・ライト・グリルに移行しています。夜間の特徴的なシグネチャーになることも移行理由の1つですね」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    役職:特派員
    フリーランスのジャーナリストで、AUTOCAR英国編集部の元スタッフ。姉妹誌『What Car?』誌の副編集長や『Practical Caravan誌』の編集長なども歴任した。元自動車ディーラーの営業マンという経験を活かし、新車・中古車市場や消費者問題について幅広く取り扱っている。近年は、これらのニュースや特集記事に加え、アイスクリーム・ワゴンのDIY方法から放置車両の探索まで、さまざまな記事を寄稿している。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事