「無償アプデ」で20ps増し マクラーレン・アルトゥーラ 長期テスト(3) タイヤ交換で速くなる?
公開 : 2024.05.05 09:45 更新 : 2024.06.19 13:57
より速く、より軽くを追求してきた、マクラーレン最新のアルトゥーラ 普段使いで新たな発見はあるのか V6ハイブリッド・スーパーカーの実力を長期テストで確認
積算7329km 無償で700psへアップデート
マクラーレン・アルトゥーラは納車が始まったばかりだが、既にアップデートが施されている。モデルイヤー毎に細かな改良が加えられることは、現代のモデルでは珍しいことではないものの、今回の内容は比較的大きい。
アルトゥーラ・スパイダーと性能を合わせるため、最新仕様の最高出力は20ps増強された。変速時間は25%短くなり、電子制御のアダプティブダンパーは反応が90%も鋭くなった。駆動用バッテリーの電気だけで走れる距離も、数kmだが長くなった。
さらに、V6エンジンのサウンドを最適化するべく、エグゾーストシステムも置換されたという。ローンチコントロールには、ホイールスピン・モードが追加された。これで、表面に砂が浮いたような滑りやすい路面でも、最速のスタートダッシュを切れる。
ただし、既にアルトゥーラがガレージへ届けられた人でも、強く悔しがる必要はないだろう。むしろ喜んでも良いかもしれない。次回にディーラーで点検・整備を受けた際に、20馬力を追加してくれるという。
愛車を預ける前までは680psだったのに、切りの良い700psに増えた状態で家路につける。しかも、作業は無償だそうだ。
望んだ通りに動くアップル・カープレイ
さて、マクラーレンの記念すべきスーパーカー、MP4-12Cの発売から13年間が経過した。それ以降の進化で1番大きいと感じているのが、インフォテインメント・システムだ。昨今では、タッチモニターの機能性は購入動機の1つになり得る。
MP4-12Cには、マップを用いたカーナビが搭載されていなかった。その後、独自開発のIRIS(アイリス)が登場し、アンドロイド・ベースのシステムへ置き換わった。アルトゥーラには、アップル・カープレイへ対応した最新のソフトウエアが実装されている。
アップル・カープレイは、多くのクルマでも利用可能な機能で、高価なモデルなら使えて当然かもしれない。しかし、少量生産されるスーパーカーのシステムが、望んだ通りに正確に機能するという事実を、喜ばずにはいられない。
筆者は過去に、スーパーカーの純正システムに悩まされた経験が何度もある。読者の中にも、同意してくれる方はいらっしゃると思う。
他方、アップデートが必要だと思う部分はまだ存在する。モニターへ表示される、想定航続距離は殆ど当てにならないことがその1つ。ガソリンを給油し起動すると、2068kmも走行可能だと表示されることがある。28.3km/Lの平均燃費が必要になる数字だ。
筆者が以前に試乗した、マクラーレン720 Sでも同様だった。些細だと許せることかもしれないが、指摘しておく必要はあるだろう。ところが写真を載せようと思い、前回の給油後に起動してみると、現実的な285マイル(458km)が示されたのだけれど。