エンジン版と共有部品ナシ! ポルシェ・マカン・エレクトリックへ試乗 ちゃんと「らしい」 航続500km以上

公開 : 2024.04.25 19:05

日常的な扱いやすさはクラストップ

インテリアはとても上質。運転席側に据えられる、12.6インチのメーター用モニターには大きなカウルがない。ダッシュボード中央のタッチモニターは、10.9インチ。助手席側にも、オプションでモニターを追加できる。

ドライビングポジションは低く理想的。シートは座り心地が良い。18ウェイのスポーツシート・プラスも、追加費用で選べる。911 GT3のアイテムのようにスポーティで、サポート性が高く疲れにくい。

ポルシェ・マカン 4 エレクトリック(欧州仕様)
ポルシェ・マカン 4 エレクトリック(欧州仕様)

ホイールベースは、エンジン版マカンより96mm長い。これにより、後席側の足元空間にはゆとりが生まれた。

インフォテインメント・システムは、新世代のポルシェ・コミュニケーション・マネジメント(PCM)。アップル・カープレイとアンドロイド・オートへ対応し、音声アシスタントも実装する。USB-Cポートは、合計4つある。

ドライバーの正面には、10m先へ投影されたように見える、拡張現実表示のヘッドアップ・ディスプレイを追加可能。ただし、実際の景色と重なるグラフィックは、少しうるさく感じるかも。

さて、確認はこのくらいにして一般道へ出てみよう。日常的な扱いやすさは、間違いなくクラストップ。ステアリングホイールとアクセルペダルの反応や重さ、正確性、直感性に、限定的なボディロールといった要素が融合し、一貫した体験が醸成されている。

ボディサイズは、エンジン版マカンより103mm長く、15mm広い。それでも、車線の中央を辿りやすいと感じた。

BMW M5に匹敵する感覚の掴みやすさ

ターボ・エレクトリックの最大トルクは、121.8kg-m。本気を出すと、すこぶる速い。0-100km/h加速は3.3秒でこなす。

ホイールスピンやトルクステアは、ほぼ生じない。新しい電子制御システムによって、前後アクスルへ伝わるトルクは、10ミリ秒という極短時間で調整される。ここに先述の一貫性の高い操縦性が融合し、公道最速のSUVの1台が完成している。

ポルシェ・マカン 4 エレクトリック(欧州仕様)
ポルシェ・マカン 4 エレクトリック(欧州仕様)

ワインディングを駆ける場面では、ターボに組まれるリミテッドスリップ・デフも望ましい。アクセルペダルの加減次第で、コーナリングラインを調整できる。感覚の掴みやすさは、BMW M5に匹敵するだろう。

4 エレクトリックは、そこまでドラマチックではないが、殆どの人は充分以上に速いと感じるはず。試乗車にはオプションのエアサスが組まれ、標準の20インチ・ホイールを履いていたが、ベストバランスに思えた。

ターボほどシリアスではなく、平滑な路面では流れるような乗り心地を披露。リア主体のトルク分配が生む操縦性を、明確に味わえるようでもあった。約2.3tある車重も、管理下に収めていた。

405psと不足なくパワフルで、峠道を刺激的に楽しめる。アウディRS3の体験と、重なるようだった。

動的特性の幅広さも、輝く部分。ポルシェらしさを生むべく、多くの努力が投じられたと同社の技術者は説明する。バッテリーEVの基準でも走りは滑らかで、素早い回頭性を与えたという。

試乗車はオールテレーン・タイヤを履いていたが、グリップ力は感動的。重めのステアリングの反応は、終始正確だった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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