量産型EQGがついに実車披露 メルセデス・ベンツ「G580 with EQテクノロジー」 航続距離470km以上のBEV

公開 : 2024.04.29 06:25

メルセデス・ベンツは新型「G580 with EQテクノロジー」の実車を北京モーターショーで初公開した。Gクラス初のEV版で、4基の電気モーターと116kWhの大容量バッテリーを搭載する。

Gクラス初の完全電動モデル

ドイツの自動車メーカーであるメルセデス・ベンツは、中国・北京で開幕中の北京モーターショーで新型EV「G580 with EQテクノロジー」の実車を出展した。Gクラス初の完全電動モデルで、コンセプトEQGの量産型となる。

基本的な構造やデザインは従来の内燃エンジン版を踏襲しているが、4基の電気モーターと大容量バッテリーを搭載し、1回の充電での航続距離473km、Gクラスらしいタフなオフロード走破性能を誇る。

北京モーターショーで公開された新型メルセデス・ベンツG580 with EQテクノロジー
北京モーターショーで公開された新型メルセデス・ベンツG580 with EQテクノロジー    AUTOCAR

エクステリアとしては、空力効率に配慮したAピラーやボンネット、ルーフ前面のスポイラーリップを採用。空気抵抗係数を表すCd値はG450d(ディーゼル)の0.48から0.44に低下している。

フロントグリルや「EQ」バッジの装着など、細部にもさまざまな違いが見られる。リアのスペアタイヤホルダーは、同じスタイルの充電ケーブルホルダーに変更することができる。

なぜこんなにも「長い車名」に?

メルセデス・ベンツの従来のEVラインナップでは、EQAEQSのように「EQ」というサブブランドから始まる名称を採用している。

EV版Gクラスも当初は「コンセプトEQG」として公開され、その名が量産型に反映されると思われた。

北京モーターショーで公開された新型メルセデス・ベンツG580 with EQテクノロジー
北京モーターショーで公開された新型メルセデス・ベンツG580 with EQテクノロジー    AUTOCAR

しかし、最終的には「G580 with EQテクノロジー」という長い名称が採用された。これはGクラスのシリーズであることを強調するためであり、EQテクノロジーという接尾辞がEVであることを示しているという。

この新しいネーミング戦略が他のラインナップに適用されることはないようだ。例えば、昨年のIAAモビリティで披露された「コンセプトCLAクラス」は、量産型でも内燃エンジン車、EVともに「CLA」を名乗る見込みだ。

4モーターで合計出力587ps

G580の電動パワートレイン開発責任者であるマニュエル・ウルステッガー氏は、「GはGのままです。デザインやサウンドだけではありません。パワートレインは妥協のないオフロード性能を提供します」と述べている。

4基の電気モーターが搭載され、各車輪を個別に駆動する。モーター出力は1基あたり147ps(108kW)で、合計出力587ps(432kW)、最大トルク118.7kg-mを発生する。

メルセデス・ベンツG580 with EQテクノロジー
メルセデス・ベンツG580 with EQテクノロジー    メルセデス・ベンツ

0-100km/h加速タイムは5秒以下、最高速度180km/h。

モーターユニットは専用開発されたもので、それぞれに独立の2速トランスミッションを備えている。異例なまでに複雑なパワートレイン構成だが、これはGクラスの厳しい仕様要件を満たすためのものであり、他のラインナップでは使用されないという。

「厳しいプロジェクトでしたが、目標はすべて達成しました。オフロードでは内燃エンジンのGよりも優れています」とウルステッガー氏は言う。

フロントサスペンションは従来と同じ独立懸架式で、リアにはド・ディオン式リジッド・アクスルが採用された。機械式ではなく “仮想” のディファレンシャル・ロック機能を備え、優れたトルク・ベクタリングを実現するという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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