【メディアに来て欲しくない?】 海外メディアに冷たい北京モーターショーでも見どころ沢山(1)
公開 : 2024.04.30 07:05 更新 : 2024.04.30 15:00
「海外メディアに冷たい」とも感じ取れる北京モーターショーが6年ぶりの開催を迎えました。現地取材での注目の車種とは? 「中国メーカー編」と「日本メーカー編」の前後2回に分けてお届けします。
2018年以来の北京モーターショーを取材
筆者を含む海外メディアにとっては、実に6年ぶりの北京モーターショー取材となった。2020年には開催されたが海外からの参加はできず、2022年は開催なし。ということで、2018年以来の北京であった。
今年はいろいろなことが大きく変わっていた。まずはメディアに対する扱いだ。モーターショーに来てほしくないのが本音か? と思わざるをえないひどい扱いであった。
認証手続きは非常に複雑で数時間かかり、中国メディアの中でも不満が噴出した。メディアセンターもかなりお粗末だ。部屋が狭くせいぜい50人ほどしか座れない。上海はスペースもゆったりあり、常においしいランチやデザートがふるまわれていたが北京で配布されたのは「ぬるい水」だけだった。
日本のモーターショーではプレスと認められないチャラい動画配信者も非常に多く、クルマの前を陣取って自撮りレポートに必死。しかも詳しい説明はほぼ皆無だった。クルマを撮影したいメディアにとっては邪魔以外の何物でもない。とまあ、まだまだ他にもあるが愚痴はこれくらいにしておこう。
運営は相変わらずひどいが、今年は4年ぶりということもあり、また激変する中国自動車界を象徴するように見どころの多いショーであった。中国のモーターショー=パクリ天国、というイメージをいまだに抱いている人も多いだろうが、もうそういう時代ではない。それは「日本にはまだ忍者がいる」というとんでもない勘違いと同レベルである。
それにしても、北京は会場がやや狭いこともあって「熱気」がすごい。となりのブースに移動するのも困難なほどの混雑ぶりだった。どのブースも盛況ということで、第18回北京モーターショー(Auto China)に出展された注目の車種を紹介していきたい。
【中国メーカー編 その1】
1.シャオミ
今年の北京モーターショーでもっとも人気だったのが中国IT企業「シャオミ(小米)」のブースだ。
初めて製造した「SU7」のお披露目とあってブースは終日大混雑。2024年3月下旬の予約開始以降、わずか24時間で8万9千台というすさまじい予約件数を獲得して日本でも話題になったあのクルマである。
今回が初の国際モーターショーへの出展を果たした。現時点では4ドア純電動セダン「SU7」のみとなるため展示もグレード違いやカラー違いにとどまった。
シャオミSU7の製造自体は北京汽車との合弁会社「北汽小米」が担当しており、車体設計や内外装デザイン、パワートレイン、サスペンションまでもを一貫して手がけていると主張する。ベースグレードに加えて「プロ」/「マックス」の計3グレードを用意、最上級グレードでは前220kW/後275kWのモーターを搭載して総合出力495kW(663hp)を誇る。
バッテリー容量と航続距離(CLTC)はベースが73.6kWh(700km)/プロが94.3kWh(830km)そしてマックスが101kWh(800km)となる。
2.BYD
2023年は302万台(BEV約157.5万台、PHEV約143.8万台)を販売し世界最大のEVメーカーとなった「BYD」。
今回の北京モーターショーは新開発の第5世代PHEVシステムを搭載するセダン「秦L DM-i」や「シール 06 DM-i」、コンパクトSUV「元UP」、そして5ドアコンパクト「OCEAN-M」など多数の新モデルを展示した。
BYDはBEVのイメージが強いかもしれないが経営を支えているのはPHEV分野の収益であり、PHEVシステムのさらなる進化のために内燃機関も自社で開発している。第5世代システムではリッターあたりの燃費が34.48km、総合航続距離は2000km超を誇ると2024年3月末に開かれた投資家向けイベントで明かしている。
その最新システムを初搭載した「秦プラス」の上級モデル「秦L」は特に多くのメディアが集まっていた。インテリアはBYDらしく保守的で昨今のトレンドである「助手席ディスプレー」などの設置はない。センターに配置された回転式ディスプレーと適度に残された物理ボタンの組み合わせに設計の巧みさを感じた。
本家のラインナップ以外にも「デンツァ(騰勢)」/「仰望」/「方程豹」などのブランドを抱えており、ますます多くの車種をグループ全体で取り揃えていく形だ。