新型ロータス・エレトレ Sへ試乗 「5.1m」が小さく感じる敏捷性! 歴代最高のインテリア

公開 : 2024.05.13 19:05

引き締まった姿勢制御 電費はあまり伸びず

試乗車では、カメラとモニターがサイドミラーを担っていた。空気抵抗や風切り音が抑えられるとしても、筆者は本物の鏡の方が確認しやすいと考える。エレトレの場合、2000ポンド(約38万円)のオプションでもある。

ホイールのサイズは、Sでは22インチが標準。ガリキズのリスクを抑え、航続距離と乗り心地を優先するなら、無償オプションで20インチへサイズダウンも可能だそうだ。

ロータス・エレトレ S(英国仕様)
ロータス・エレトレ S(英国仕様)

様々なルートの平均で、今回の電費は3.3km/kWh。空気抵抗を示すCd値は0.26とかなり低いのだが、前面投影面積が大きく、動力性能にはかなりの余裕がある。エネルギー効率が伸びないとしても、不思議ではない。別途、エレトレ Rの電費も確かめたい。

アクセルペダルの操作に対する反応は良好。ステアリングホイール裏にある片側のパドルを弾くことで、回生ブレーキの強さを調整できる。

もう一方のパドルは、ドライブモードの切り替え用。グレートブリテン島の一般道では、スポーツ・モードよりツアー・モードの方がベターなようだ。

エレトレは、グレードを問わずエアスプリングが標準。アクティブ・アンチロールバーと後輪操舵システムは、Sの場合オプション。試乗車にも実装されていなかった。

路面からの入力に対する、衝撃の吸収性は充分。高速道路の速度域でも、路面次第では僅かに上下動は残る。それでも姿勢制御は引き締まり、ボディロールは最小限に抑えられていた。トラクションも素晴らしい。

ひと回りボディが小さく感じるステアリング

ステアリングホイールは丸くないが、ボディがひと回り小さく感じられるほど、操舵への反応は機敏で正確。勢いよく回すには、それなりの力が必要になる。

実際、試乗後に駐車場へ停めてみると、枠ギリギリなことに驚いた。慣れてしまうと、運転中はそこまで大きいとは感じられなかったからだ。

ロータス・エレトレ S(英国仕様)
ロータス・エレトレ S(英国仕様)

かつてのロータスのように、小さく軽いスポーツカーではない。しかし、平滑とはいえない英国の狭い道路にも、見事に順応してみせた。高性能な電動SUVというカテゴリーで、ライバルとは異なる、独自性を獲得していることは間違いないだろう。

ロータス・エレトレ S(英国仕様)のスペック

英国価格:10万5805ポンド(約2032万円)
全長:5103mm
全幅:2019mm
全高:1630mm
最高速度:257km/h
0-100km/h加速:4.5秒
航続距離:495km
電費:3.5km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2520kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:109.0kWh(実容量)
急速充電能力:350kW
最高出力:611ps(システム総合)
最大トルク:72.3kg-m(システム総合)
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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