【日本メディア初試乗】ガジェットギークのみなさんへ ついに登場、シャオミ初の乗用車「SU7」実力は?

公開 : 2024.04.30 11:45  更新 : 2024.05.01 12:25

・シャオミ初の乗用車「SU7」に日本メディア初試乗
・ガジェットメーカーがつくるのはどんなクルマ?
・北京モーターショー開催中の中国、現地からレポート

クルマもガジェットのひとつに

中国ではスマートフォンメーカーが次々に自動車業界に参入しており、シャオミ(Xiaomi)もそのひとつだ。

同社は2023年12月、長らく噂されていた初の乗用車「SU7」を発表、2024年3月に販売を開始した。このたび、中国国外のメディアとしては初めてSU7の試乗に成功した。

シャオミSU7
シャオミSU7    加藤博人

シャオミSU7は、シャオミが内外装のデザインやシャシー、パワートレインの設計まで一貫して同社内でおこなったと主張する。国営自動車メーカー「北京汽車」との合弁会社の、高度に自動化された生産ラインにより生産される。

まずはスペックから。ボディは全長×全幅×全長=4997×1963×1455mm、ホイールベースが3000mm。デザインチームを指揮しているのは、BMWのiX(i20)や7シリーズ(G70)のデザインなども担当した李田原氏だ。

トリムレベルはベースグレードに加え「Pro」と「Max」の3グレード展開で、シャオミらしくスマートフォンを感じさせる名付け。中国でのメーカー希望小売価格はそれぞれ21.59万元(約465.9万円)、24.59万元(約530.6万円)、29.99万元(約647.3万円)。

ベースグレードと「Pro」はシャオミが独自に開発した出力299ps、トルク40.79kg-mのモーターを後輪に配置する後輪駆動。バッテリーはBYDのグループ企業が製造するリン酸鉄リチウムイオン電池を搭載する。車重はそれぞれ1980kg、2090kg。

今回試乗したのは最上級の「Max」で、出力が673ps、トルクが85.45kg-mまで強化され四輪駆動となり、車重は2205kgに。バッテリーは三元系リチウムイオン電池で、中国独自の測定方式「CLTC」では一充電で800kmを走行可能とする。0-100km/h加速は後輪駆動モデルが5.28秒、四輪駆動モデルが2.78秒と公表している。

ツボを押さえたスタイリング、優れた乗り心地に驚きも

エクステリアは流行りのクーペ風セダンのスタイリングでスポーティな雰囲気。リアの格納式スポイラーの裏にはモデル名、モーター最大回転数、最高出力と最大トルクが刻印された金属プレートが設置されているのが洒落ている。

シンプルなエクステリアと対照的にインテリアの造形は凝った印象。センターコンソール周りの物理ボタンはわずかで、操作は基本的にセンターディスプレイから行うが、ディスプレイ真下に接続する物理ボタンのバーも後付け部品として購入可能とされている。これによってメディア音量や再生/一時停止、エアコンの細かい設定が操作できるようになる。

シャオミSU7
シャオミSU7    加藤博人

いざ試乗に入り、未舗装路を走り出すと、シャオミSU7はいきなり筆者の期待を上回った。気づかされたのは、予想以上の足回りの設計の良さである。サスペンション形式はフロントがダブルウィッシュボーン式にリアがマルチリンク式で、数段階での車高調整機能も搭載する。

COMFORTモードではサスペンションが衝撃をよく吸収し、車内のドライバーに不快感は伝わらない。コーナリングでは、シートのバックレストがまるでメルセデスAMGの「ドライビングダイナミックシート」のように膨張してドライバーの姿勢を支えてくれる。

主なドライブモードは「爽」「新手」「COMFORT」「SPORT」「SPORT+」の5種類が用意される。「爽」はその名の通り爽快な走り心地を提供し、モーター出力は強めながら、電子的な加速サウンドはオフとなる。「新手」は初心者ドライバー向けに出力が制限されるモード。

「SPORT」以上のモードでは、段階を経て加速力が強められ、エンジン音を模した電子的な加速サウンドの演出が加わる。これに加え、ハンドル右下のスイッチにより20秒間だけブーストモードを起動できる。

直線道路で「SPORT+」モードに変更し、加速性能を試す。力強い加速だが胃がひっくり返るような気分の悪い衝撃が発生しないよう、うまく調律されていた。試乗した直線道路はところどころ舗装が荒れていたが、直進時の不安定さは感じられなかった。サスペンションも「COMFORT」より固められ、路面に吸い付くように走ってくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    加藤ヒロト

    Hiroto Kato

    山口県下関市生まれ、横浜在住。慶應義塾大学環境情報学部に在学するかたわら、各自動車メディアにて「中国車研究家」として中国の自動車事情について「クルマ好き」の視点で多様な記事を執筆する。また、自費出版で中国モーターショーのレポート本「中国自動車ガイドブック」シリーズも手掛けている。愛車は1998年型トヨタ カレンと1985年型トヨタ カリーナED。
  • 編集

    香野早汰

    Hayata Kono

    1997年東京生まれ。母が仕事の往復で運転するクルマの助手席で幼少期のほとんどを過ごす。クルマ選びの決め手は速さや音よりも造形と乗り心地。それゆえ同世代の理解者に恵まれないのが悩み。2023年、クルマにまつわる仕事を探すも見つからず。思いもしない偶然が重なりAUTOCAR編集部に出会う。翌日に笹本編集長の面接。「明日から来なさい」「え!」。若さと積極性を武器に、日々勉強中。

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