【勢いの鈍るBEVモデル】 それでもステランティスが盤石な理由とは? EV拡販のスタンスを聞く
公開 : 2024.05.02 17:45
恒例となりつつあるステランティス・グループ打越社長によるラウンドテーブルが開催されました。今回はQ1(第1四半期)の振り返りと展望がテーマですが、電動化に対する同社のスタンスも確認します。
勢いの鈍るBEV。今後の読みは?
昨年11月の終わりごろ、JR田町駅にほど近いステランティス・ジャパンに数名のメディアが招集された。社長就任からちょうど1年ということで、打越晋社長の“思いつき”によるラウンドテーブルが開催されたのだ。
その内容は2023年の振り返りと今後の展望について。そこでは「コロナ後の輸入車の販売は8割がた回復している。あとはこちらがお客様にどういった提案ができるか」といった話があった。
実際に打越社長は「エブリバディEVキャンペーン」を“思いつき”、実行に移している。これはステランティスの電動化モデルを購入した方にカスタマイズした旅行をプレゼントするというもの。当時の論調としても、「電動化モデルの普及こそ同社の回復の切り札になる」という感じだった。
あれから5ケ月ほどが過ぎ、再び打越社長を囲むラウンドテーブルが開催された。今回はQ1(第1四半期)の振り返りと展望がテーマということだったが、こちらの興味は電動化に対するスタンスにあった。
電動化の流れはこれまでも度々大きなうねりを伴っているが、ここ半月ほどは「BEVの販売が失速している」といったニュースをよく見かけるようになっている。これに対し日本で展開している7ブランド全てで積極的に電動化を推し進めているステランティス・ジャパンのスタンスに何か変化はあったのだろうか?
小型モデルこそ現状BEVの最適解
ステランティス・ジャパンの7ブランドの電動化モデルはPHEV、BEVなど様々なかたちで日本導入されており、昨年はアバルト500eが話題となり市場の反応も良かった。
「今年のQ3以降で、先ごろ少しお騒がせしてしまったアルファ・ロメオのミラノ改めジュニアと、ジープのアベンジャー、フィアット600e、そしてeDS3を全てBEVモデルとして導入していきます」
「お騒がせ」とはミラノという名前で一度発表されたにもかかわらず数日後に変更になったという話のこと。ちなみに世界的にはジュニアだが、日本における正式な名称はまだ決定していないとのこと。
さて本題である。
「昨今の『電動化モデルが足踏みしている』という状況は理解していますが、弊社としてのスタンスは変わりません。というのも私自身はガソリンエンジン車が大好き人間ですけれど(笑)、一方で移動距離が短い普段使いであれば小型のBEVの方が圧倒的に便利で効率がいいという考えだからです」と打越社長。
確かに同社の電動化モデルはフィアットとアバルトの500eをはじめとして比較的小さなモデルが多い。日本のBEVの販売台数はここ2年はサクラの圧勝だが、それこそ普段使いにおける小型BEVのメリットといえる。
「小型車ならBEVがいい。でも週末に遠出するような需要にはPHEVがストレスフリー」というのが打越社長とステランティスの推奨カーライフということになる。滞っているように思える充電インフラ等も含めれば、自宅充電がメインとなる小型モデルは現時点におけるBEVの最適解といえるだろう。