【日本メディア初試乗】ついにMGに帰ってきたオープンモデル「サイバースター」マーケットはどう受け入れる?

公開 : 2024.05.01 16:05

英国でも販売開始、市場の反応が気がかりな1台

駆動方式は後輪駆動と四輪駆動の2種類となり、前者のベースグレードは出力314ps、上位グレードが340psとなる。四輪駆動モデルは前に出力204psのモーターを追加し、合計で544psを記録する。バッテリーはベースが容量64kWh、それより上は77kWhのものを搭載。四輪駆動モデルの航続距離は中国独自のCLTC方式で520kmと公表しており、少しの遠出なら問題ない。

アクセルの制御は意外とマイルド。昨今の中国EVはどれもそれが下手だが、サイバースターはリニアな加速でとても気持ち良い。スポーツモードにすることで0-100km/hを3.2秒で駆け抜ける加速力を味わえる一方、それでも酔う感覚がないのは低い視点とキャビンのタイトさによるものかもしれない。

MGサイバースター
MGサイバースター    加藤博人

パワーやトルクは十分なものの、2トン級の車重が感じられる部分もある。裏を返せば、ハンドリングや直進時の安定性はしっかりとしていると言える。また、足回りの設計もスポーツカーに求めたい硬さではなく、まだスポーティーさに全振りできていない印象だ。

いろいろと改善点はあるが、運転が楽しいのは間違いないし、それよりもこの時代にMGブランドで新たな2ドアロードスターを出してくれたことにまずは感謝したい。キャビンの設計からもサイバースターが純粋なドライバーズカーであることは明白な一方、中国市場がそれを受け入れられる土壌ではないのがなんとも残念に思う。

2024年4月下旬には英国でもサイバースターを販売開始、価格は5万4995ポンド(邦貨換算:約1083.2万円)からと、中国での販売価格31万9800元(約697.5万円)よりもかなり高い。英国人のスピリットでもあるMGの2ドアロードスターだが、新たな形になってどのように評価されるか注目したいところだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    加藤ヒロト

    Hiroto Kato

    山口県下関市生まれ、横浜在住。慶應義塾大学環境情報学部に在学するかたわら、各自動車メディアにて「中国車研究家」として中国の自動車事情について「クルマ好き」の視点で多様な記事を執筆する。また、自費出版で中国モーターショーのレポート本「中国自動車ガイドブック」シリーズも手掛けている。愛車は1998年型トヨタ カレンと1985年型トヨタ カリーナED。
  • 編集

    香野早汰

    Hayata Kono

    1997年東京生まれ。母が仕事の往復で運転するクルマの助手席で幼少期のほとんどを過ごす。クルマ選びの決め手は速さや音よりも造形と乗り心地。それゆえ同世代の理解者に恵まれないのが悩み。2023年、クルマにまつわる仕事を探すも見つからず。思いもしない偶然が重なりAUTOCAR編集部に出会う。翌日に笹本編集長の面接。「明日から来なさい」「え!」。若さと積極性を武器に、日々勉強中。

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