ベントレー・ベンテイガ 詳細データテスト 上質で広い 動力性能も操縦性もハイレベル 文句なく快適

公開 : 2024.05.04 20:25

結論 ★★★★★★★★☆☆

ミュルザンヌの退役から4年。ベントレーの超高級フラッグシップの抜けた穴を埋めることを期待されるのが、今回のベンテイガEWBだ。走らせ甲斐やロマンティックさでいえば、フットワークのいいミュルザンヌのようなわけにはいかない。

しかし、乗り心地や静粛性、そして走行中のウェルビーイングについては、混雑した市街地でも空いた高速道路でも味わえる。もしもスムースな舗装路を外れて走りたいとなれば、このクルマの全天候性はかなり大きな動機付けとなる。これは世界屈指の万能性を備えたコンプリートなクルマだ。

結論:ミュルザンヌのような魅力には欠けるが、いまのところよりよくできた部類の高級車に数えられる。
結論:ミュルザンヌのような魅力には欠けるが、いまのところよりよくできた部類の高級車に数えられる。    JACK HARRISON

もちろん、高級SUV市場は、ベンテイガがデビューした頃ほどゆとりがあるわけではない。レンジローバーのロング版のほうがおそらくコスパがいいし、特別感はロールス・ロイスカリナンのほうが上だ。この大きなベントレーは、インテリアのそこここに古さを感じさせる部分もある。改修は必要だろう。それでも今のところ、EWB仕様は、やはり目を引く存在だ。

担当テスターのアドバイス

リチャード・レーン

ほとんどのオーダーがエアラインシート仕様なのは納得だ。EWBは後席重視のクルマなのだから。それでも、自ら運転すれば操縦性のよさに驚くはず。いいクルマは乗っているうちに小さく感じるようになると日頃から言っているが、なんとこのEWBもその部類なのだ。

マット・ソーンダース

ベントレーによれば、EWBには標準モデルに対して2500のパーツを新設計したという。また、1台あたりの製造には、132時間余計に費やすとか。それでも、フラッグシップ専用モデルがあったほうがいいと、個人的には思うが。

オプション追加のアドバイス

使い方を慎重に見極めよう。エアラインシートはすばらしいが、乗車定員が1名減ってしまう。アズールでも十分過ぎるほど贅沢なSUVで、4+1座が標準仕様となる。ミュリナーは、普段使いには過剰だろう。

改善してほしいポイント

・低速でのセカンダリーライドの改善を。そこだけが、走りにおける弱点だ。
・デジタルメーターはもはやスペシャルなものには思えない。いまこそ、アナログに戻すときではないだろうか。
・低速での取り回し時、小刻みな変速を入れると、ギアボックスがフリーズすることがある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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