フォード・フォーカス・エステート1.5 TDCi 120 タイタニウム
公開 : 2014.12.14 23:40 更新 : 2017.05.29 18:54
■どんなクルマ?
つい最近フェイスリフトしたフォーカス・エステートを初めて英国の道でテストする。今回のモデルは120psの1.5ℓディーゼル。経済性重視のユーザー御用達の今はなき1.6ℓTDCiユニットの後継である。
全体の売上のうち、このユニットは45%を占めるだろうとのこと。出力向上を果たしている一方、CO2排出量を98g/kmに抑え、さらに燃費も向上しているというのだから、フォードの予測にも頷ける。
自家用車として、あるいは社用車として購入しても能力を多分に発揮することができるはずで、これまで以上にフォルクスワーゲン・ゴルフ・エステートやスコダ・オクタヴィア・エステートとも熾烈な争いを繰り広げることが予想される。
■どんな感じ?
先代の1.6ℓのユニットからは厳密にいうと61cc小さくなっているけれど、1500rpmからそのうえの広い回転域まで実に力強い。決してとてつもなく速いわけではないものの、市街地でも郊外でも快適かつ非力に感じることはない。
洗練性もかなりのもので、どれほどプッシュしても静けさは変わらず、ペダルやギア・ノブを介した不快な振動もないに等しい。高速道路の速度域に達するとホイール・ハウスからノイズが侵入することはあるが、遮音性は総じて良好で、フォードの ’いつもの’ 気持ちいい操作感のギア・シフトも健在だ。
ステアリングの仕立てはナーバスというよりもリラックスした印象で、正確性やなめらかさを高いレベルでキープしているのはさすがである。ただしフロントのサスペンションが先代よりもわずかながらに固められている分ノーズの入りがクイックになっているため、あともう少しだけ情報量を伝えてくれたらなと思うこともあった。
サスペンションが固められたとは書いたものの乗り心地そのものは悪化していないので悪しからず。安定感は高く、たとえ大きめの凹凸を踏み越えたとしても、ボディの動きが破綻することはない。郊外に出てうねりが目立つ路面を走っても安定性は維持され、継ぎ目を乗り越えても何事もなかったかのように衝撃をいなしてくれる。
キャビンは高級感に溢れているとは言いがたいものの、先代の大きな欠点であったインフォテインメント・システムが最新のものに置き換わっている点は加点ポイント。チタニウムとチタニウムXの2グレードには8インチのタッチスクリーンが標準で装着され、こちらの操作感は以前のそれとは比べ物にならないくらい素晴らしいと感じた。
レスポンスそのものは現在市場に出回るもののなかで最高とまでは言うつもりはないが、レイアウトは最高レベルに達している。エアコンの操作は物理的なコントローラーを介して行うこともできるけれど、ナビとエアコンの操作画面の切り替えがボタンひとつでできるのも嬉しいポイント。なおスマートフォンの接続にはわずかながらに時間を要すことはここに書き加えておこう。