世界最速の「ソファー」 チャージャー/チャレンジャー アメリカ文化のアイコン ダッジのマッスルカー2台を比較(2) 

公開 : 2024.05.11 09:46

自然吸気V8エンジンの後ろめたい喜び

太いトルクを8速ATが優しく受け止め、想定外にスムーズに運転できる。それでも、右足へ少し力を込めれば、リアタイヤは即座にむずがる。チャージャーは、野蛮なビッグサルーンだ。

8代目へバトンを渡す勢いで、加速力は圧巻。フロントガラス越しの景色が歪むような、速度上昇は永遠に続くようでもある。開発者は意図的にオールドスクールを意識したのだと思うが、バッテリーEVの時代にも、このダッシュ力は受け継がれるに違いない。

ダッジ・チャージャー・スキャットパック 392スーパービー(北米仕様)
ダッジ・チャージャー・スキャットパック 392スーパービー(北米仕様)

チャージャーの魅力も、チャレンジャーと同じく、一元的ではない。サウンドとドラマチックさ、ちょっと愚かにも感じられる体験全体が、ドライバーを笑顔にする。生真面目なクルマ好きからは、冷笑される可能性はあるが。

ダッジは、ユーザーに選択の幅も提供した。豊富なボディカラーとエンジンを組み合わせることで、自分好みの1台を仕上げることができた。将来、サイケデリックなパープルの電動クーペを販売するブランドがあるとしたら、ダッジも含まれるはず。

フレーザーバレーのトンネルで、自然吸気V8エンジンの音響へ浸る。この後ろめたい喜びは、遠い過去のものとして過ぎ去っていくのだろう。マッスルカーのノスタルジーを謳歌できる時代には、終わりが近づいている。

8代目チャージャーの量産準備は進行中

ダッジは、カナダ・トロント郊外のブランプトン工場で、新しいチャージャーの量産準備を進めている。これまでに、200万台以上のチャレンジャーとチャージャーがラインオフしたというが、V8エンジンは製造されなくなっても、片方は生き続ける。

若く見えるカナダ人にも、マッスルカーは響くようだ。今回も「ヘルキャット!」と口にしながら、18歳くらいの青年が駆け寄ってきた。まもなく姿を表す8代目へ乗っていても、世代を超えて、多くの人と繋がれるのではないだろうか。

レッドのダッジ・チャレンジャー・スキャットパック・スインガーと、ホワイトのダッジ・チャージャー・スキャットパック 392スーパービー
レッドのダッジ・チャレンジャー・スキャットパック・スインガーと、ホワイトのダッジ・チャージャー・スキャットパック 392スーパービー

執筆:ブレンダン・マカリア(Brendan McAleer)

チャレンジャーとヘルキャット 2台のスペック

ダッジ・チャレンジャー・スキャットパック・スインガー(北米仕様)

英国価格:4万1598ポンド(約799万円)
全長:5027mm
全幅:2179mm
全高:1461mm
最高速度:280km/h
0-100km/h加速:4.3秒
燃費:7.2km/L
CO2排出量:325g/km
車両重量:1949kg
パワートレイン:V型8気筒6400cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:484ps/6100rpm
最大トルク:65.5kg-m/4100rpm
ギアボックス:6速マニュアル(後輪駆動)

ダッジ・チャージャー・スキャットパック 392スーパービー(北米仕様)

英国価格:3万6730ポンド(約705万円)
全長:5100mm
全幅:1905mm
全高:1468mm
最高速度:281km/h
0-100km/h加速:4.5秒
燃費:10.6km/L
CO2排出量:307g/km
車両重量:1978kg
パワートレイン:V型8気筒6400cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:484ps/6100rpm
最大トルク:65.5kg-m/4100rpm
ギアボックス:8速オートマティック(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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