ツインターボ+電動スーチャー+ISG! メルセデスAMG CLE 53 クーペへ試乗 速度重視から快適重視まで
公開 : 2024.05.14 19:05
滑らかで個性のある直6 音響的な魅力も
M256型と呼ばれる直6エンジンは、滑らかで軽快に吹け上がる。ユニットとしての個性もあり、アクセルペダルを戻すとゴロゴロとぐずるサウンドも伴う。従来のV8エンジンほどではないものの、音響的な魅力も備わる。
トルクコンバーター式9速ATの変速も知的で、旋回時などは期待通りのギアを選んでくれる。ブレーキをかけると、シフトダウンする制御も好ましい。
ステアリングホイール裏のパドルを弾いて自らギアを決めれば、より直感的に運転できる。レッドライン間際で変速すると、僅かにギクシャクする場面はあった。
サスペンションには、AMGライドコントロールと呼ばれる、アダプティブダンパーが標準装備。コンフォート・モードを選ぶと、大きなホイールへ鋭い入力が加わっても、車内を穏やかに保ってくれる。
スポーツやスポーツ+モードでは、明確に引き締まる。シリアスなレース・モードにすると、アクセルレスポンスが鋭敏になり、変速も一層高速化するものの、乗り心地は犠牲になる。変速ショックも大きくなるから、お好みで個別に調整すると良いだろう。
カーブが連続する区間でも、落ち着きは失いにくい。高めの速度でコーナーへ侵入すると、ボディロールが一定量生じるものの、過度に増すことはない。2000kgという車重を感じさせるとはいえ、ニュートラルなスタンスは崩さない。
終始安定志向の走り ドリフトモードも追加可
四輪駆動ということもあり、ステアリングホイールへ伝わる感触は薄い。正確に反応するが、旋回時に負荷が高まっても、重さは変化しないようだった。
後輪操舵システムは、速度域の低いロータリー交差点などで効果的。積極的に走らせているペースでは、違いを実感しにくいかもしれない。
グリップやトラクションに、不足はなし。スポーツ以上のモードでは、主にリアアクスルへパワーが分配され、スタビリティ・コントロールの介入も緩めになるが、右足を一気に倒しても終始安定志向。自在に振り回す楽しさは、制限されている。
プロ・パフォーマンスでは、後輪駆動状態になるドリフトモードも選べるようになる。この機能を確かめるには、サーキットが必要ではあるが。
英国価格は、プレミアム・グレードで7万3075ポンド(約1403万円)から。ナイトエディション・プレミアムプラスは7万8825ポンド(約1513万円)で、プロ・パフォーマンスは7500ポンド(約144万円)追加すれば装備できる。
CLE 53 クーペは、サーキットも許容する速さと、長距離旅行もいとわない上質さとの、丁度良いバランスにある。パワーとサウンド、ラグジュアリーさを、ボタン1つで切り替えられる。見事に多能なAMGだ。
◯:個性豊かで滑らかな6気筒エンジン 印象的なスタイリングとインテリア 速さ重視から快適性重視まで選べる、幅広いドライブモード
△:感触の薄いステアリング 2ドアクーペとしては重い車重 かつてのAMG 63級の魅力はない
メルセデスAMG CLE 53 4マチック+(欧州仕様)のスペック
英国価格:7万3075ポンド(約1403万円)
全長:4850mm
全幅:1861mm
全高:1423mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.0秒(レーススタート時)
燃費:10.4km/L
CO2排出量:217g/km
車両重量:2000kg
パワートレイン:直列6気筒2999cc ツイン・ターボチャージャー+電動スーパーチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:448ps/5800-6100rpm
最大トルク:56.9kg-m/1800-5000rpm
ギアボックス:9速オートマティック(四輪駆動)