時代に逆行? 自然吸気6.5L V12で830馬力、フェラーリ新型「12チリンドリ」公開 華麗なるフラッグシップモデル

公開 : 2024.05.06 06:05

大幅進化したV型12気筒エンジン

12チリンドリは最高出力830ps、最大トルク69kg-mを発生するV12エンジン「F140HD」により、0-100km/h加速わずか2.9秒、最高速度340km/hに達する。

812スーパーファストのエンジンと比較して、ピストンは2%、カムシャフトは3%、コンロッドは40%と大幅に軽量化されている。

フェラーリ12チリンドリ・スパイダー
フェラーリ12チリンドリ・スパイダー    フェラーリ

マニホールドの小型化やカムプロファイルの微調整などもあって、最大回転数は8900rpmから9500rpmに引き上げられた。その結果、サウンドとパフォーマンスは「フェラーリの魂の最も純粋な表現」だとされている。

フェラーリの製品開発責任者であるジャンマリア・フルゲンツィ氏によると、内燃機関をめぐる法規制の不透明さやフェラーリの電動化計画にもかかわらず、812の後継車にV12エンジンを搭載することは「数年前」に決まっていたという。

「勇気のいる決断でした。しかし、それほど難しい決断ではありません。なぜなら、我々もお客様もV12を愛していますし、販売台数も多すぎるということはありません。規制が目まぐるしく変化する世界でも、エンジンを生かし続けることができると信じています」とフルゲンツィ氏は取材で語った。

快適性とアジリティに妥協せず

ホイールベースは812に比べて20mm短縮され2700mmになり、アジリティと応答性が向上した。

さらに後輪操舵システムと、ミシュラングッドイヤーの新開発タイヤ(フロント幅275mm、リア幅315mm)の導入によって、直進安定性とコーナリング性能も改善している。

フェラーリ12チリンドリ
フェラーリ12チリンドリ    フェラーリ

一方、シャシーの鋳造を22個から17個に減らすことで、ねじり剛性は15%向上した。オープンルーフのスパイダーもシルを大幅に補強し、剛性では1%しか妥協していないという。

V12フェラーリとしては初めてブレーキ・バイ・ワイヤ技術を採用し、四輪のブレーキ力を細かく調整することができる。また、ABS-Evoシステムにより制動距離を短縮。3次元の動きを迅速かつ緻密に計測する最新版サイド・スリップ・コントロールと組み合わせ、あらゆるコンディションでトラクションとパフォーマンスを最大化する。

大径ホイール、ボンネット、アクティブ・エアロにより重量がわずかに増加したため、12チリンドリの乾燥重量は812スーパーファストより35kgほど重く、1560kg(スパイダーは1620kg)となっている。

フルゲンツィ氏はこの重量増について、幅広い特性を与えるための努力の結果だと言う。

「エレガントで快適、そしてハイパフォーマンスという異なる特性を1台で実現したかったので、車重を少し増やすことになりました。一般的に、重量の増加は性能の向上と釣り合いが取れています」

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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