レクサスの中国製コピー? 上級ワンボックスEVが英国上陸 マクサス・ミファ9へ試乗 価格なりの高水準

公開 : 2024.05.17 19:05

内装に安普請なところは殆どない

試乗車はトップグレードのプレミアで、シートの設えは上質。運転席は調整域が広く、ヒーターとマッサージ機能が備わる。目的地が遠くでも、運転手が顔を曇らせることはないかも。

2列目のアームチェアは、それ以上に座り心地が良い。一部に合皮も用いられるが、本皮は肌触りが良く、手元のタッチモニターで角度などの調整が可能。ほぼフラットにリクライニングでき、前席同様にマッサージ機能も内蔵だ。

マクサス・ミファ9 プレミアム(英国仕様)
マクサス・ミファ9 プレミアム(英国仕様)

エアコンや間接照明などを組み合わせた、シナリオと呼ばれる、車内環境の選択もできる。特徴の1つだろう。

アームチェアの間を歩くと、3席並んだ3列目へ移動できる。これも充分心地良く、身長180cm以下の大人なら狭く感じることはないはず。

一見すると、LMの中国製コピーに見えるかもしれない。確かに、レクサスの内装は高水準で、製造品質も優れる。

それでも実際に触れてみると、ミファ9の内装に安普請なところは殆どない。レザーシートのステッチは美しく整列し、プラスティック製部品も高品質。カーボンファイバー製トリムも、深みのある光沢を放つ。

ただし、マッサージをオンにするとシートはきしむ。肘掛けの動作は、滑らかではない。小さなデスクの出し入れは手動だ。

インフォテインメント・システムも、想像より扱いやすかった。同グループに属すMGの最新版と共通なようで、メニュー構造は理解しやすい。安定しなかったが、アップル・カープレイにも対応する。

洗練度は至らなくても低価格が強み

回生ブレーキは、デフォルトでは効きが少々強め。お好みで、弱くもできる。ステアリングコラムから伸びるレバーを2度下げると、アダプティブ・クルーズコントロールが有効になる。

ミファ9の英国価格はLMやEQVよりお手頃だが、しっかりその予算内での高水準が目指された印象。1万ポンド(約192万円)から1万5000ポンド(約288万円)という価格差があり、洗練度は至らなくても、納得はできるだろう。

マクサス・ミファ9 プレミアム(英国仕様)
マクサス・ミファ9 プレミアム(英国仕様)

上級ワンボックスを複数台必要とする企業にとって、導入コストは重要な選択ポイントになり得る。リアシートへ座るVIPの幸福感に、違いは出るかもしれないけれど。

マクサス・ミファ9 プレミアム(英国仕様)のスペック

英国価格:7万7686ポンド(約1492万円)
全長:5270mm
全幅:2000mm
全高:1840mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:9.9秒
航続距離:429km
電費:4.6km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2535kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:90.0kWh
急速充電能力:−kW
最高出力:244ps
最大トルク:26.2kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    クリス・カルマー

    Kris Culmer

    役職:主任副編集長
    AUTOCARのオンラインおよび印刷版で公開されるすべての記事の編集と事実確認を担当している。自動車業界に関する報道の経験は8年以上になる。ニュースやレビューも頻繁に寄稿しており、専門分野はモータースポーツ。F1ドライバーへの取材経験もある。また、歴史に強い関心を持ち、1895年まで遡る AUTOCAR誌 のアーカイブの管理も担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、BMW M2。その他、スバルBRZ、トヨタGR86、マツダMX-5など、パワーに頼りすぎない軽量車も好き。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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