ハイブリッドでクラシックな「アメリカン」 ジープ・グランドチェロキー 4xeへ試乗 悪路性能は圧巻

公開 : 2024.05.22 19:05

総合380ps 満充電ならかなりパワフル

公道へ出てみると、15.0kWhの駆動用バッテリーが満充電なら、グランドチェロキーはかなりパワフル。2.0L 4気筒ターボガソリンに2基の電気モーターで構成され、システム総合で380psと64.8kg-mを発揮する。0-100km/h加速は6.3秒だ。

2基のモーターの内、1基は135psを発揮する駆動用。8速ATに内蔵され、EVモードで走行していても変速される。悪路性能を高める、ローレンジも選べる。

ジープ・グランドチェロキー 4xe サミットリザーブ(英国仕様)
ジープ・グランドチェロキー 4xe サミットリザーブ(英国仕様)

もう1基は、エンジン側に組まれる電圧48Vのスターター・ジェネレーター(ISG)。39psとなかなか力強く、低回転域でのトルクの補完に加えて、駆動用バッテリーの充電も受け持つ。

ただし、駆動用モーターとガソリンエンジンの動きが、稀に噛み合わない場面も見られた。全力での加速を求めると、ザラついたエンジンノイズを響かせる。

駆動用バッテリーの充電量が25%程度へ落ちると、動力性能は目に見えて低下。4気筒エンジンが、頑張っている様子も伝わってくる。この状態では、8速ATの滑らかさにも陰りが生まれ、燃費は10.0km/Lを割ってくるようだ。

駆動用バッテリーの電気だけで走れる距離は、カタログ値で48-49km。燃費は38.5km/Lが主張される。2024年のプラグイン・ハイブリッドとしては、優れる数字とはいえないだろう。CO2の排出量は60g/kmだ。

欧州ブランドに届かない操縦性 圧巻の悪路性能

操縦性は、欧州ブランドのSUVほど洗練されていない。しかし、アメリカンな雰囲気が、それを気にさせなくしてくれる。

乗り心地はしなやかで、路面からの影響を受けにくい。ラングラーの4xeと比べて、車内は静かでもある。ステアリングは、悪路や低速域では滑らか。速度域が上昇すると、バネで戻されるような少し不自然な手応えが増していく。

ジープ・グランドチェロキー 4xe サミットリザーブ(英国仕様)
ジープ・グランドチェロキー 4xe サミットリザーブ(英国仕様)

姿勢制御も、ディスカバリーのような上質さはないものの、ランドクルーザーには並ぶ。連続するカーブを楽しめるタイプではないが、走行フィールと相まって、不思議な充足感がある。急ぎ過ぎず、悠々と前進していくのが良い。

オフロード性能は圧巻。エントリーグレード以外には、車高調整可能なエアサスペンションが標準装備される。ボディが路面と接する角度は、フロント側で28.2度、ホイールベース間が20.9度、リア側が30.0度と、ディスカバリーと変わらない。

ジープ基準の走破性では、ショートボディのラングラーを10点満点とした場合、グランドチェロキーは6点か7点とのこと。ブレーキ付きのトレーラーなら、最大2.2tまで牽引もできる。

特にEVモード時の走りっぷりには、唸ってしまった。駆動用モーターは、信じられないほど滑らかに発進させ、瞬間的に最大トルクが発揮されるから扱いやすい。

渡河水深は610mmあり、30度以上の斜面を、横向きにも走れる。難関な路面でスタックするより、ドライバーのチャレンジ精神が燃え尽きる方が早いかも。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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