もっと燃費が良ければ理想的! マツダMX-30 R-EV 長期テスト(2) パワージェネレーターが故障

公開 : 2024.05.18 09:45

発電用ロータリーを搭載した、シリーズ式ハイブリッドのMX-30 マツダらしい楽しさは? バッテリーEVやプラグインHVとの能力差は? 英国編集部が長期テストで評価

積算2225km 静かで快適な高速走行

筆者は、プロのフォトグラファーだ。AUTOCARの取材では遠出も多く、ここ半年だけで4万km前後走っている。早朝から丸1日撮影をこなし、日が暮れた頃に高速道路を2時間ほど運転して自宅へ向かう、という過酷なスケジュールも多い。

そのため、クルマはできるだけ安楽・平穏なものであって欲しい。リラックスして、先を急げるという特徴を求めている。ありがたいことにマツダMX-30 R-EVは、クルーズコントロールをオンにすれば、穏やかに高速道路を快走できる。

マツダMX-30 R-EV 170PS エクスクルーシブライン(英国仕様)
マツダMX-30 R-EV 170PS エクスクルーシブライン(英国仕様)

リアのサスペンションはマルチリンクで、乗り心地はしなやか。アスファルトの修復場所や橋桁の継ぎ目、ザラついたコンクリート舗装でも、滑らかに突き進んでくれる。

フロントはマクファーソンストラット式で、ステアリングも正確。ドライバーの意のままに運転できる、コンパクト・クロスオーバーだ。

それ以上に印象的なのが、丁寧に仕立てられたインテリア。上質さでいえば、同クラスのレクサスUXBMW X1以上かもしれない。高速走行時の車内は、非常に静かでもある。ダッシュボードのレイアウトも考え込まれ、操作しやすい。

インフォテインメント用モニターは、ダッシュボードの上部にあり、目線の移動は最小限で済む。表示内容をナビからラジオに切り替えたい場合は、センターコンソール上のローター・コントローラーとボタンで直感的。覚えれば、手元の感覚で扱える。

過去ベストのタッチモニター 褒めにくい燃費

AUTOCARでは何度も触れているが、最近のモデルには、大きなタッチモニターがつきもの。しかし、多くの機能がサブメニューに別れて登録されており、画面を見ながらでないと操作は難しい。タッチモニターに残る指紋も、ギラギラして気になりがち。

他メーカーのインテリア・デザイナーも、MX-30 R-EVの車内を体感してみて欲しい。撮影を通じて、筆者は多くのモデルのインフォテインメント・システムへ触れてきたが、過去ベストのシステムだと思う。

マツダMX-30 R-EV 170PS エクスクルーシブライン(英国仕様)
マツダMX-30 R-EV 170PS エクスクルーシブライン(英国仕様)

ただし、自分が求めるクルマ像に対して、完璧というわけではない。小さなロータリーエンジンが発電用として載っているが、場面によってはノイズが平穏を乱すのだ。

1度目覚めると、通りの反対側で建設工事が進められているような、少し耳障りなエンジン音が車内へ充満する。アクセルペダルを踏み込むと、特に顕著だ。

とはいえ、ラジオのボリュームを少し上げれば、気にはならなくなる。助手席の人と会話していれば、忘れてしまう程度ではある。

燃費はもう少し伸びて欲しい。駆動用バッテリーをフル充電した状態で、高速道路を300kmほど走らせた時の燃費は約12.5km/L。ウンザリするほど悪くはないが、現代のこのクラスのクロスオーバーとして、褒められる数字でもない。

充電が充分ではなく、駆動用バッテリーの残量を43%以上に保とうとするノーマル・モードのままなら、8.9km/Lへ悪化する。これは期待外れといえるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト マツダMX-30 R-EVの前後関係

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