T6カリフォルニアと比べてみる フォルクスワーゲンID.バズ 長期テスト(3) 長旅の素晴らしい相棒

公開 : 2024.05.19 09:45

VW カリフォルニアと比べてみる

約束通り、両親のカリフォルニアを借りてみたが、洗練性や快適性、日常的な乗りやすさではID.バズの方が勝るだろう。2.0Lディーゼルターボはトルクフルだが、回転直後から最大トルクを生み出す電気モーターには敵わない。

車重は2.5t近くあるものの、実際はそれを感じさせない。カリフォルニアも、充分運転しやすかったけれど。

フォルクスワーゲンID.バズ SWB 77kWh プロ・スタイルと、フォルクスワーゲン T6カリフォルニア・オーシャン
フォルクスワーゲンID.バズ SWB 77kWh プロ・スタイルと、フォルクスワーゲン T6カリフォルニア・オーシャン

ID.バズのデザインは、かなり未来的。両親のクルマが、実際以上に古く見えたほど。ID.バズをしばらく運転した父親は、自分のクルマのケンウッド社製カーナビや、ガタガタと走行時に震える内装が、時代を感じさせると認めていた。

もっとも、直接の比較はフェアではないだろう。ID.バズは、ハッチバックのID.3と同じ、フォルクスワーゲン・グループのMEBプラットフォームを基礎骨格とする。対するカリフォルニアは、ベッドやミニキッチンを備えたバンのキャンピングカーだ。

ID.バズにも、少しの不満はあった。フロントガラスのワイパーは、中央部分に拭き残しが出てしまい、気になってしまう時間が多かった。2列目シートは、想像よりだいぶ手前側だった。

エアコンの温度調整をするタッチセンサーは、暗がりでは操作しにくく、インフォテインメント・システムは反応が鈍いことも。キーの感度が悪いのか、稀にシステムが起動しない時もあった。

お高めの価格を踏まえると、これらの細かな部分は解決されるべき。それでも、リアの広大な空間にベッドとミニキッチンをセットしたら・・。自分も欲しいと思ってしまう、フォルクスワーゲンだったことは間違いない。

積算1万66km ユーザー登録が必要なアプリ

長めの休暇を終え、フォルクスワーゲンのスマートフォン用アプリをダウンロードしてみた。ID.バズのエアコンと駆動用バッテリーの温度管理を、出発前からできるように。

しかしアプリは、インフォテインメント・システムのユーザー登録が終わるまで使えないという。ところが、その登録方法がわからない。結果的に、まだ使えていない。冷え込んだ朝も、ID.バズは凍えたままだ。

フォルクスワーゲンID.バズ SWB 77kWh プロ・スタイルと筆者、フェリックス・ペイジ
フォルクスワーゲンID.バズ SWB 77kWh プロ・スタイルと筆者、フェリックス・ペイジ

テストデータ

気に入っているトコロ

大きなスライドドア:人間に限らず、愛犬も、かつてないほど乗り降りしやすい。

気に入らないトコロ

ワイパーのスイッチ:ステアリングホイール奥の、動かないレバーの上に、ワイパーのスイッチがちょこんと付いている。慣れるまで時間がかかった。

価格

モデル名:フォルクスワーゲンID.バズ SWB 77kWh プロ・スタイル(英国仕様)
新車価格:6万2844ポンド(約1207万円)
テスト車の価格:6万6394ポンド(約1275万円)

テストの記録

電費:4.2km/kWh
航続距離:344km
故障:なし
出費:なし

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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