なぜ好調? マツダ「過去最高」売上達成 鍵を握るラージ商品群、待望の次期型CX-5はいかに

公開 : 2024.05.11 06:05  更新 : 2024.05.11 12:43

マツダが広島本社で決算説明会を開いた。売上、利益ともに過去最高を記録し、販売台数も前期比12%増となった。好調の背景にある「ラージ商品群」とは? さらに次期型CX-5の開発も明らかになった。

売上と利益で過去最高を記録!

マツダの業績が好調だ。2023年度(2023年4月~2024年3月)の売上高は過去最高の4兆8000億円以上、北米市場での販売も初めて50万台を超えるなど、明るい情報が並ぶ。

5月10日にマツダの広島本社で開かれた決算説明会で、毛籠勝弘CEOは好調の背景について「コロナ禍から脱し、ラージ商品群を投入したこと」が挙げられると説明した。物流面では混乱が続くが、販売面では収益力の高い上級モデルを中心に支持を集め、成長につながったようだ。

日本や欧州へ導入する「CX-80」
日本や欧州へ導入する「CX-80」

マツダの販売台数はここ数年で減少傾向(直近の売上高・営業利益は高水準)にあったが、2023年度は前期比12%増の124万1000台を販売し、盛り返した。さらに売上高4兆8277億円(前期比26%増)、営業利益2505億円(76%増)、当期純利益2077億円(45%増)と3項目において「過去最高」を達成した。

市場ごとの販売の内訳を見ると、日本16万台(3%減)、北米51万4000台(26%増)、欧州18万台(13%増)、中国9万7000台(15%増)、その他市場28万9000台(2%減)となっている。日本以外の市場でおおむね増加し、特に北米での成長が著しい。

なぜマツダは好調なのか。もちろんコロナ禍からの復帰や価格見直し等による販売強化も好材料となったが、毛籠CEOの言葉にあったように、今回の決算でマツダが特に強調していたことの1つがラージ商品群の存在だ。

超重要な「ラージ商品群」

ラージ商品群とは、その名の通り既存のマツダ車よりも大型・上位のモデルラインナップで、CX-60CX-70、CX-80、CX-90の4車種からなる。ラージ商品群の主な特徴として、後輪駆動(FR)の採用とマルチパワートレイン戦略が挙げられる。

4車種はマツダの中でも高価格帯に位置しており、前輪駆動(FF)や四輪駆動が主流となる中であえて後輪駆動を採用したのは、高級車に求められる「走り」を追求するためだ。エンジンも比較的排気量の大きいユニットが搭載されるが、電動化に対応し、48VマイルドハイブリッドやPHEVも選択できる。

今期導入予定の「CX-80」は3列シートを採用している。
今期導入予定の「CX-80」は3列シートを採用している。

マツダは2022年のCX-60を皮切りにラージ商品群の投入を始め、今期(2024年度)にようやく4車種を揃えることになった。毛籠CEOは「揃った今年からが本番だ。しっかり育成していく」と意気込む。また、ラージ商品群の走りについても「プラットフォームが良く、マツダの走る歓びを体現できると考えている」と自信を見せた。2024年度は4車種で20万台の販売を見込んでいるという。

特に大型車が好まれる北米ではラージ商品群の存在感が強く、またハイブリッド車を求める声も非常に大きいという。マツダにとって引き続き成長の鍵となることは間違いない。

一方、販売台数を牽引しているのは小型のCX-5マツダ3CX-30などだ。主力のCX-5は、ハイブリッドを搭載する次期型の開発が進められており、毛籠CEOは「鋭意開発中だ」と述べたものの、具体的な導入時期については言及を避けた。現行世代のCX-5は2017年に発売され、モデルチェンジの時期は近いはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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