ジープ・アベンジャー 詳細データテスト 低重心ゆえの良好な操縦性 日常的な乗り心地には注文あり
公開 : 2024.05.18 20:25 更新 : 2024.08.15 11:44
意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆
欧州ジープのデザイン部門長であるダニエレ・カロナチは、ブランドのDNAを全長4mほどのクルマに詰め込んだ。シルやバンパーを幅広いクラッディングで飾ったのも、前後スキッドプレートをシルバー塗装ではなくアルミパーツとしたのもそのためだ。
また、アベンジャーの最低地上高はクラス最大級だ。200mmというのは、軽カーながら本格クロカンと認知されるスズキ・ジムニーより10mm少ないのみ。ただし、駆動方式は前輪駆動だ。
生産はステランティスのポーランド・ティヒ工場で、新型モジュラープラットフォームのe-CMP2をベースとしたはじめてのモデルとなる。現在ではシトロエンe-C4やDS3クロスバックE-テンス、ヴォグゾール/オペルの電動版コルサやモッカにも採用され、プジョーのe-208とe-2008もその仲間に加わった。
新型プラットフォーム採用の利点としては、オーバーハングが短く四輪が踏ん張った塊感のある外観を、衝突時の衝撃吸収性能を損なわずに実現したことが挙げられる。ホイールトラベルも改善され、タイヤ幅のキャパシティも広がった。テスト車は最上位機種のサミットで、スクエアなアーチには見栄えのいい18インチホイールと215幅のタイヤが収まる。
サスペンションはパッシブで、フロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビーム。ステランティスのこの手のモデルでは、典型的な設定だ。
フロントに積む他励同期式モーターは、このクルマで初導入された。ステランティスと日本のニデックとの合弁であるeモーターの処女作だ。従来方式より高効率とされ、156psと26.5kg-mを発生する。
このサイズのクルマとしては十分な動力性能だと言えるが、54.0kWhの駆動用バッテリーのわりには重いウェイトを考えるとインパクトは足りない。テスト車の実測値は1601kgで、重すぎるわけでなく、重心は低めだが、1.2Lガソリンモデルの1182kgより車両重量はかなりかさむ。