【顧客の平均年齢43歳】 カリナンがシリーズIIへ進化 ロールス・ロイス製SUVが成し遂げた功績

公開 : 2024.05.13 17:45

シリーズII:進化した素材パレット

自然の中を思いのままに駆け巡るという、カリナンの性能と多くの顧客の要望を意識し、インテリアには植物からインスピレーションを得たパレットが使用された。

カリナン・シリーズIIでは、繊細な輝きを放つ美しい木目の天然オープンポア材、グレー・ステンド・アッシュを採用。この樹種は1本ずつ厳選され、ベニヤシートを手作業で染色し、微細な金属粒子を加えることにより独特の効果を生み出されており、この工程の開発には4年以上の月日がかけられたという。

ロールス・ロイス・カリナン・シリーズII
ロールス・ロイス・カリナン・シリーズII

ロールス・ロイスがテキスタイルを探求する姿勢はカリナン・シリーズIIにも受け継がれ、竹から作られた新しいレーヨン生地が「デュアリティ・ツイル」と名付けられた。

この素材は、ヘンリー・ロイス卿がかつて冬季を過ごしたヴィラ・ミモザに隣接する、コート・ダジュールの「地中海の庭園」に生息する広大な竹林からインスピレーションを得たものであり、デザイン・チームのメンバーは研究中にこの庭園を訪れ、1世紀以上も前からこの庭園内で生育し、ヘンリー・ロイス卿自身も観察していたであろうこの植物を原料にした素材を開発することを思いついたのだという。

ツイル織りのテキスタイルには、アーティスティックな「デュアリティ」のグラフィックが刺繍されており、このデザインは、創業者のイニシャルであるRの二重文字を抽象的に解釈し、セーリング・ヨットのロープが織り成すラインを想起させる船舶の要素を明確に反映しており、ここにもフレンチ・リビエラへのさりげないオマージュが込められているという。

複雑な刺繍を施したこのテキスタイルの開発には1年以上を要し、グッドウッドのホーム・オブ・ロールス・ロイスで行われるこの複雑な製造工程を監督するために、常勤として加わった織物職人とのコラボレーションによって実現した。

インテリアの全域に施されたデュアリティ・ツイルには、最大220万のステッチと11マイルの糸を使用し、20時間もの工程を経て完成する。それぞれのピースは、1枚ずつ作り上げてから、素材のほつれと個々の糸の緩みを防ぐように特別に開発されたレーザーで裁断され、パターンの均一性を保ちます。ベースとなるツイル・テキスタイルは、ライラック、チョコレート、ブラックの3色で展開され、顧客は51色の糸から選択可能となる。

カリナン・シリーズIIには、ロールス・ロイスの職人が開発したもう一つの新しい現代的な工芸技術、プレースド・パーフォレーションが採用された。これは、レザーに施された小さな穴によってアート作品を制作する技法だという。

初めて採用されたこの技法は、グッドウッドを拠点とするホーム・オブ・ロールス・ロイスの上空で絶えず変化する雲の形と影からインスピレーションを得てデザインされ、この模様は、1.2ミリメートルとミリメートルのパーフォレーションで構成され、その数は最大10万7000個にのぼり、一人の職人が一つひとつのパーフォレーションを確認し、絶対的な均一性を確保する。

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  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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