自然吸気にこだわるフェラーリ V12のターボ化は「考えていない」 エモーショナルを重視

公開 : 2024.05.14 18:05

フェラーリが新型12チリンドリに導入した6.5L V12エンジンは、ターボ化も小排気量化も行わずに環境規制へ適合させている。エンジニアは「ターボ化は頭の中にない」と語る。

排気量を減らすときだけターボを使う

イタリアの自動車メーカーであるフェラーリは、新型12チリンドリに搭載している自然吸気V12エンジンについて、ターボチャージャーの導入は「考えていない」としている。

フェラーリは先代の812スーパーファストで使用されていた6.5L V12エンジンを発展させ、小排気量化やターボ化を必要とせず欧州の環境規制「ユーロ6e」に適合させた。排ガス低減のため、多額の投資を行ったと言われている。

新型12チリンドリは自然吸気6.5L V12エンジンを採用している。
新型12チリンドリは自然吸気6.5L V12エンジンを採用している。    フェラーリ

販売やマーケティングの最高責任者を務めるエンリコ・ガリエラ氏は、次のように述べた。

「当分の間は、12チリンドリを世界中で販売し続けることが可能です」

「エンジンの性能を維持し、規制に準拠するために行った作業は驚くべきものです。おそらく、それがV12エンジンに投資し続けるメーカーが少ない理由の1つでしょう」

もし将来的にターボ化の必要に迫られた場合は、V12の搭載を見送るかもしれない。製品開発責任者であるジャンマリア・フルゲンツィ氏は取材に対し、次のように答えた。

「V12ターボは考えていません。V12は多くの理由から自然吸気を採用しています。エンジンの排気量を減らすときは、ターボチャージャーを使います」

「V12は自然です。低回転から最大回転までエモーション、サウンド、加速を生み出すものです。それがフェラーリの求める製品です」

フェラーリは現在、主要自動車メーカーの中で唯一、自然吸気でハイブリッド化されていないV12エンジンを量産しているメーカーである。アストン マーティンは同等のエンジンにツインターボを採用し、ランボルギーニはハイブリッドとして販売している。ゴードン・マレー・オートモーティブの新型ハイパーカーT50は自然吸気V12を使用しているが、わずか100台の限定生産だ。

フェラーリが今後、どのようなモデルにV12を搭載するかは明らかにされていないが、プロサングエに導入される可能性はある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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