アストン マーティン・ヴィラージュ 6.3(1) V8エンジンは「グループCカー」 未来を背負ったクーペ

公開 : 2024.06.01 17:45

不足していた冷却能力とシャシー剛性

ヴィラージュ 6.3は、残りのパッケージングへ開発フェイズが進められた。J402 MNKのナンバーで登録され、「ミンキー」というニックネームも与えられた。

ABS付きのブレーキは、AMR1譲りとなるAPレーシング社製。ディスクの直径は14インチで、4ポッドキャリパーが挟んだ。285/45 R18というワイドなタイヤは、グッドイヤーが供給した。

アストン マーティン・ヴィラージュ 6.3(1992〜1993年/英国仕様)
アストン マーティン・ヴィラージュ 6.3(1992〜1993年/英国仕様)

解決すべき課題も多かった。そもそも、通常のヴィラージュでも冷却能力は不足気味。パワーアップしたことで、設計の古いシャシーには一層の剛性も必要になった。

見た目を差別化するため、空気抵抗を意識した専用ボディキットも用意。アストン マーティンの工場で、職人が手作業で成形した。特徴となったのが、拡大されたフロントやサイドのスカートだろう。

フロントフェンダーには、冷却用のエアアウトレットも開けられた。スカットル部分にも、熱を逃がすための穴が設けられた。

リアアクスルは、全力加速に耐えるよう強化。ラバーブッシュはボールジョイントへ置き換えられたが、まだ充分ではなかった。スーパーチャージャーを積んだ、後のアップデート版となるヴァンテージでは、4リンクのドディオン・アクスルへ変更されている。

ステアリングラックも補強。サスペンションのスプリングとダンパー、ジオメトリも見直された。トランスミッションは、6速マニュアルも試された。マフラーも、複数の仕様が検討されたという。

この続きは、アストン マーティン・ヴィラージュ 6.3(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アーロン・マッケイ

    Aaron McKay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

アストン マーティン・ヴィラージュ 6.3の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事