スマート・フォーツー

「スマート」というブランドの発想は、1980年代にスイスの時計メーカーであるスウォッチから生まれた。カスタマイズの自由があり、小型でファッショナブルな乗用車というニッチに目をつけたのだ。スウォッチはダイムラー・ベンツと組んで新会社「マイクロ・コンパクト・カー」を設立し、1998年に初代スマート・フォーツーを発表した。

この信じられないほどコンパクトで、陽気でありながら頑丈そうな見た目のクルマは誰も見たことがなかった。オーナーは欧州の狭い都市部の道路でも、平然と駐車して皆を驚かせた。フォーツーの成功は、自動車メーカーに勇気を与えただろう。自動車デザインの傑作の1つとなっている。

スマート・フォーツー
スマート・フォーツー

トヨタ・ミライ(初代)

水素燃料電池を動力源とするクルマは、なぜか他車とは違うデザインを採用するのが常である。2014年登場のトヨタ・ミライが好例だ。全長5.0m近い大型の高級セダンだが、悲しいことに水素を補給できる場所が限られているため、信じられないほど希少だ。

この未来的なデザインは写真ではうまく伝わらないが、躍動感あるボディラインと洗練されたプロファイルには圧倒されるだろう。運良く実車を見ることができたら、じっくりと脳裏に焼き付けておきたい。

トヨタ・ミライ(初代)
トヨタ・ミライ(初代)

プジョー407

2004年に登場したプジョー407は、先代の406よりもはるかに流線型でアグレッシブ。フロントピラーは強いアールを描き、フロントライトは睨みつけるような光を放つ。最も物議を醸したのは、大きくワイドなフロントグリルだった。このようなグリルは伝統的にスポーツカーにしかなかったのだ。

いわば、407は人々が長年抱いてきたファミリーセダンの「あるべき姿」を打ち壊した。しかし、販売面では大成功を収め、累計100万台以上が生産された。そして登場以来、このグリルはプジョーのトレードマークとなった。静止画でも、スマートで快速に見える。

プジョー407
プジョー407

クライスラー300C

2004年登場したクライスラー300Cは、高いボディサイドやワイドフェンダーなど、大胆かつクラシックなデザインで消費者の度肝を抜いた。日本や欧州にも持ち込まれたが、一部のお高くとまった人々は300Cのクロームメッキの貪欲さと、当時としては非常に大きなフロントグリルを嘲笑した。

彼らは300Cを、既成の高級ブランドに食い込もうとする新興勢力と見ていたのだ。しかし、ソリッドなプロポーションと引き締められた体躯は多くのファンを獲得。今日でも通用するスタイリングとなっている。

クライスラー300C
クライスラー300C

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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