メルセデスAMG G 63へ試乗 新サスでSUVライクな走り! 4.0L V8はマイルドHV化 操縦性は歴代ベスト

公開 : 2024.05.30 19:05

孤高のメルセデスAMG G 63がマイルド・ハイブリッドに 4.0L V8ツインターボは585ps 0-100km/h加速4.3秒 アクティブライドで操縦性は歴代ベスト 英国編集部が評価

孤高のAMG G 63がマイルド・ハイブリッドに

伝統のメルセデス・ベンツGクラスへバッテリーEV版が登場したことは、AUTOCARの読者ならご存知だろう。電動化技術はメルセデスAMGにも及び、このG 63もハイブリッドになった。

ただし、走行時のCO2排出量を大幅に減らしたわけではない。ハイブリッドといってもマイルドな仕様で、電圧48Vのスターター・ジェネレーター(ISG)が、大排気量のV8エンジンへ追加されたに過ぎない。

メルセデスAMG G 63(欧州仕様)
メルセデスAMG G 63(欧州仕様)

勇ましい排気音も、怒涛のダッシュ力も従来どおり。富を全身で主張するような、堂々とした躯体も変わらない。残念な燃費と、驚くようなお値段も。

AMG G 63へ、正面でぶつかるようなライバルは存在しない。ランドローバーレンジローバーが最も近いといえるが、モダンな雰囲気で印象はだいぶ異なる。イネオス・グレナディアはクラシカルな出で立ちだが、もっと実務的な仕上がりにある。

動力性能でいえば、ポルシェカイエンやアストン・マーティンDBX707などと比べられるかも。だが、Gクラスは孤高の存在だ。

AMG G 63のスタイリングは、伝統的な特徴を守りながら、現代的なものへ巧みにアップデートされている。ボディの外へ露出したドアヒンジや、フェンダー上のウインカー、テールゲートのスペアタイヤまで、すべてが本気な印象を与える。

2024年仕様では、通常のGクラスと同等のアップデートが施され、空気抵抗を減らしたAピラーなどを獲得。ボディパネルの隙間は狭く均一で、製造品質の高さも匂わせる。

4.0L V8ツインターボは585ps 0-100km/h加速4.3秒

ラダーフレーム・シャシーの上に、ボディが載る構造は従来どおり。手作業で組み立てる領域が多く、1台当たり述べ100時間もスタッフが関わるとか。

よじ登るようにして高い位置の運転席へ座ると、周囲を見渡せるアイポイントが気持ちいい。遠くまで目視でき、威厳を持って運転できる。

メルセデスAMG G 63(欧州仕様)
メルセデスAMG G 63(欧州仕様)

ボディサイズを考えれば、前席側の空間は前後方向に狭め。高さ方向には余裕があるが、後席も同様だ。荷室も広くはない。週末のキャンプでは、荷物を積み重ねる必要があるだろう。

インフォテイメント・システムは、最新のMBUX。12.3インチ・モニターが、ダッシュボード上に2面並ぶ。エアコンには実際に押せるハードボタンが残り、車載機能の多くは直感的に操作できる。

今回の改良で、レベル3に対応したアダプティブ・クルーズコントロールを実装。キーレスゴーも装備された。

エンジンは、AMG謹製の4.0L V8ツインターボ。ISGが21psと25.3kg-mを加算し、最高出力585ps、最大トルク86.5kg-mを繰り出す。トランスミッションは、9速オートマティック。最高速度は220kmだが、0-100km/h加速は4.3秒と、有り余るほど速い。

勇ましいサイドマフラーから放たれるサウンドは、かつての5.5Lユニットのように威嚇的ではないが、重厚でボリューミー。控えめさを望む人には、基本的に向いていない。賢明さを少しでも高めたいなら、ディーゼルターボが適している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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