メルセデスAMG G 63へ試乗 新サスでSUVライクな走り! 4.0L V8はマイルドHV化 操縦性は歴代ベスト

公開 : 2024.05.30 19:05

操縦性は歴代ベスト SUVライクに運転できる

最新仕様で目玉となる技術が、AMGアクティブライド・コントロールと呼ばれるサスペンション。トーションバーのクロス・スタビライザーが油圧システムに置換され、相互接続されるダンパーも専用品になる。

オフロードではソフトにし、走破性を担保。オンロードではハードにし、カーブでのボディロールを減らし、安定性を高める。

メルセデスAMG G 63(欧州仕様)
メルセデスAMG G 63(欧州仕様)

これにより、操縦性は歴代のGクラスでベストになった。メルセデス・ベンツの技術者の1人は、アウトバーンでの走行時に、3秒先読みしてステアリングホイールを回す必要がなくなったと話していた。皮肉のようにも聞こえるが。

実際に速めのスピードで走らせてみると、確かに操縦性はタイトに変身。カーブでは滑らかに旋回し、正確にラインへ導くことができるようになっている。ポルシェカイエンほどではないにしろ。

ステアリングホイールの切り始めには、まだ遊びが多い。ワインディングを高速で下るような場面では、ドライバーが腕を思い切り動かす必要はある。それでも、大きなボディがひと回り小さく感じられる。ずっとSUVライクに運転できる。

乗り心地も上質 圧巻のオフロード性能

乗り心地もだいぶ上質。コンフォート・モードを選べば、しなやかに路面をいなし、高速道路を安楽に突き進める。風切り音が大きいけれど。

スポーツ+モードではぐっと引き締まり、ボディロールが最小限に抑えられる。とはいえ、コンフォートでも驚くほど傾くことはないのだが。またエグゾーストノートには、アフターファイヤーの破裂音が混ざるようになる。

メルセデスAMG G 63(欧州仕様)
メルセデスAMG G 63(欧州仕様)

インディビジュアル・モードもあり、お好みの設定を組み合わせられる。エグゾーストは全開、サスペンションはソフトという組み合わせが、AMGのGクラスらしいかも。

悪路性能は圧巻。ラリーコースのような高速セクションでは、軽くない車重を活かし、荷重移動を活かした走りがしやすい。2m近い全高を考えると、安定感も凄い。

ドライブモードにはトラクションプロがあり、砂漠からの脱出に好適。ゴツゴツとした岩場での低速クローリングも、得意分野だ。

自己主張の塊のような、AMG G 63。アップデートを経て、最も優れた操縦性を持つGクラスへ進化した。

約11万ポンド(約2112万円)でランドローバーディフェンダー 110が買えるとしても、18万ポンド(約3456万円)超のこちらへ、強く惹かれる人は少なくないはずだ。

◯:ワイルドなサウンド 圧巻の速さ 自己主張の強さ
△:さほど実用的ではない 操縦性はクラスのトップではない 人によっては派手すぎると感じるかも

メルセデスAMG G 63(英国仕様)のスペック

英国価格:18万4595ポンド(約3544万円)
全長:4866mm
全幅:1931mm
全高:1975mm
最高速度:220km/h
0-100km/h加速:4.5秒
燃費:6.4km/L
CO2排出量:358g/km
車両重量:2640kg
パワートレイン:V型8気筒3892cc ツイン・ターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:585ps/6000rpm
最大トルク:86.5kg-m/2500rpm
ギアボックス:9速オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事