新しい穴は1つもナシ! デビッド・ブラウン・ミニeリマスタードへ試乗 スムージング・ボディで電動化

公開 : 2024.05.29 19:05

航続距離は177km リニアにパワーを展開できる

インテリアはDBAが細部まで手を加え、ダッシュボードなどの内装は真新しい。エアコンの送風口はおしゃれなデザインで、ボタン類は本物の金属。メーター類は本来の雰囲気を残しつつ、充電量がわかるバッテリーEV仕様へ改められている。

フロントシートも豪華。リアシートは、基本的には荷物置き場だろう。容量18.8kWhの駆動用バッテリーの一部は、もともとスペアタイヤが載っていた場所にも積まれている。荷室は、もともとの容量が保たれている。

デビッド・ブラウン・ミニeリマスタード(英国仕様)
デビッド・ブラウン・ミニeリマスタード(英国仕様)

急速充電には対応せず、満充電に3時間かかる。航続距離は、最長177kmと長くはない。正直なところ、実用性は高くない。

お値段が15万ポンド(約2880万円)なことを考えれば、恐らくオーナーは複数のお気に入りをガレージに収めているはず。これで問題ないのだろう。

車重は640kgと軽く、0-100km/h加速は8.5秒。今回はロンドンの市街地でしか運転しなかったが、その数字相当に活発だと思えた。

バッテリーEVらしく、静止状態から力強く滑らかに加速する。オリジナル・ミニのアクセルペダルはスイッチのように唐突だったが、リニアにパワーを展開できる。

回生ブレーキも備わり、電気エネルギーの無駄を減らしている。ブレーキペダルの感触も好ましく、予想通りにスピードを落とせる。元の場所にシフトレバーは付いているが、DとRだけだ。

運転の印象は、記憶の中にあるクラシック・ミニ

基本的には、筆者の記憶にある、クラシック・ミニらしく運転できる。駆動用バッテリーを小さく留めたことで達成した、ほぼ変わりない車重も、この印象に貢献しているだろう。容量を増やせば、重くなってしまう。急速充電に対応させても重くなる。

年式にもよるが、当初のモーリス・ミニ・マイナーの車重は約580kg。2000年前後には、装備が増え700kg前後になっていた。ミニeリマスタードは、640kgだ。回頭性は素早く、キビキビ加速し、ピタッと止まれる。

デビッド・ブラウン・ミニeリマスタード(英国仕様)
デビッド・ブラウン・ミニeリマスタード(英国仕様)

タイヤは12インチのヨコハマA539。サイズは165/60と肉厚だ。運転体験は、場所を選ばず適度にスポーティ。ランドローバーレンジローバーに乗っているより、多くの視線を市街地では集める。

インテリアは真新しく、容姿は洗練されている。ヒーターは良く効く。社外品のインフォテインメント・システムが備わり、適度な高級感もある。

助手席は運転席のすぐ隣り。シートに座った目線は、大型トラックのタイヤより下。
この小ささを受け入れられれば、好きになってしまう特徴に溢れている。

まったく新しいボディシェルや、電動パワートレインを与えることが、本当に環境へ優しいのかは疑問ではある。それでも、すこぶる楽しいクルマに感じたことは本当だ。

撮影:スタン・パピオール(Stan Papior)

デビッド・ブラウン・ミニeリマスタード(英国仕様)のスペック

英国価格:15万ポンド(約2880万円)
全長:3050mm
全幅:1470mm
全高:1330mm
最高速度:148km/h
0-100km/h加速:8.5秒
航続距離:177km
電費:8.5km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:640kg
パワートレイン:AC同期モーター
駆動用バッテリー:18.8kWh
急速充電能力:−kW
最高出力:98ps
最大トルク:17.8kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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