「排気ガス出さないで」 ZEV義務化とは何か? 英国を揺るがす環境規制、消費者への影響は
公開 : 2024.05.24 18:05
今年から英国で始まったZEV義務化。メーカーに一定割合のゼロ・エミッション車販売を義務付けるもので、違反すると多額の罰金が課される。日本車メーカーも例外ではない。
排出量ゼロの車両を増やす
「どの業界においても、これまでで最も注目すべき介入の1つだ」
今年初めに英国政府が導入したゼロ・エミッション車(ZEV)義務化について、英国自動車製造販売者協会(日本の自工会に相当)のマイク・ホーズ会長はこう述べた。
ZEV義務化(ZEV mandate)は英国内で新車を販売している自動車メーカーを対象に、販売台数の一定割合を排気ガスを出さないZEVとすることを法律で義務付けるものだ。不適合車の販売が上限を超えた場合、1台につき1万5000ポンド(約300万円)の罰金を課す。
英国で販売されるすべての新車に影響を及ぼすものであり、当然ながら日本のメーカーも対象となる。
2024年のZEV販売比率は22%と定められ、この比率は少なくとも2030年まで毎年上昇していく。
北極星となっているのは、2050年までに炭素排出量をネットゼロにするという英国の法的コミットメントである。そこから逆算して、ゼロ・エミッションでない新車の販売禁止は2035年に設定されている。
「(大気中に排出される)炭素の大部分は道路輸送によるものだ。2035年から2050年までの15年間で、ほとんどの “古い” 自動車は道路から消える」とホーズ会長は言う。
そのため、英国政府は2050年のネットゼロ達成に向けて自動車分野に最も重点を置いており、単に電気自動車(EV)を奨励するだけでなく、ZEV以外のクルマの販売を禁止するという思い切ったアプローチをとった。
2021年には新車EV購入に対する優遇措置を廃止したが、通勤や出張で使われる社用車(カンパニーカー)ユーザーには減税措置が残っている。今のところ、新車EVには自動車税(VED)がかからないが、来年度からは変更される見込みだ。
ZEV義務化は気候変動法(Climate Change Act)の中に位置づけられ、基本的な内容は米カリフォルニア州の同等の制度をベースとしている。しかし、主な違いとして、カリフォルニア州の制度は業界や市場動向に応じて何度も調整されていること、プラグインハイブリッド車(PHEV)を認めていること、インセンティブがあることが挙げられる。
英国の法律では、自動車メーカーに対して毎年ZEVの販売比率を高め、2030年には80%とすることを義務付けている。ZEVの定義は、車両からのCO2排出がゼロで、1回の充電で160km以上の航続距離(欧州WLTPサイクル)を持つものとされる。8年または16万kmのバッテリー保証が必要で、それまでにバッテリー容量が70%を下回った場合、交換されなければならない。
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