「排気ガス出さないで」 ZEV義務化とは何か? 英国を揺るがす環境規制、消費者への影響は

公開 : 2024.05.24 18:05

消費者への影響は?

EVを購入予定の消費者にとっては、この法律はおおむねポジティブなものだ。一部のメーカーはEVの販売台数を伸ばすため、お得なリースプランなどを提供している。

例えばホンダは以前、電動クロスオーバー「e:Ny1」のPCP(個人向けローン)契約において8000ポンド(約160万円)の実質割引プランを提供していた。定価はエンジン車より高いが、これにより月々の支払額はHR-V(日本名:ヴェゼル)と同等になった。その後、e:Ny1の定価を5000ポンド(約100万円)引き下げ、現在3000ポンド(約60万円)の割引を提供している。

エンジン車の購入が徐々に難しくなっていくと予想されるため、EV購入を検討していない人にとっては悪いニュースかもしれない。
エンジン車の購入が徐々に難しくなっていくと予想されるため、EV購入を検討していない人にとっては悪いニュースかもしれない。

また本稿執筆時点では、ヴォグゾールモッカ・エレクトリックは、2106.36ポンド(約42万円)の初期費用と年間8000kmの走行距離制限、契約期間は2年間で、月額175.53ポンド(約3万5000円)からリースすることができる。

もしEVに乗り換えるつもりがないのなら、ZEV義務化は悪いニュースになるかもしれない。メーカーは目標達成のためにエンジン車の販売を制限する可能性もある。

欧州フォードのゼネラルマネージャーであるマーティン・サンダー氏は最近、英フィナンシャル・タイムズ紙主催の自動車カンファレンス「Future of the Car」で、「需要に反してEVを市場に押し込むことはできない」と語った。そして、「唯一の選択肢は、英国への(エンジン)車両の出荷を減らし、それの車両を別の場所で販売することだ」とした。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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