四輪駆動の極上クーペ誕生! 最新 BMW M4 CSへ試乗 直6はCSLと同じ550ps 充足感が半端ない

公開 : 2024.05.31 19:05

カリカリのCSLより、1ノッチ穏やかに仕立てられたM4「CS」 同じ3.0L直6で550ps 車内もアップグレード 印象は知る人ぞ知る、四輪駆動の極上クーペ 英編集部がサーキットで評価

M4 コンペと大差なかった体験のM4 CSL

BMW M4 CSを正しく堪能するには、数年前に発売された、M4 CSLを理解しておく必要があるだろう。1000台の限定で、驚くほど高額なプライスタグが下げられ、直近の20年間では伝説の「CSL」を掲げるのに相応しい内容といえた。

とはいえ、M4 CSLは満場一致の「クーペ・スポーツ・リヒト」ともいえなかった。精悍なストライプがボンネットを飾り、英国価格はスーパーカーのアウディR8へ並んでも、運転体験はM4 コンペティションと大差なかったからだ。

BMW M4 CS(欧州仕様)
BMW M4 CS(欧州仕様)

間違いなく、コンペティションは素晴らしい。CSLは、しっかり進化していた。とはいえ、伝説の3文字をぶら下げるのであれば、ポルシェ911 カレラSとGT3との違いのような、飛躍的な変化を期待した人は多かったはず。

その要因の1つといえたのが、ドイツ語でリヒト、軽さだった。1625kgという車重は、M4 コンペティションから約100kgも削減された結果だった。それでも、軽いと自慢できるほどの数字ともいえなかった。

筆者がM4 CSLへ試乗したのは、2022年。短時間ではあったものの、長いフロントノーズがきついコーナーへ吸い込まれていく様子は、クイックでフラット。自然に流れていくような身のこなしが、強く印象付けられた。

乗り心地は褒めにくくても、操縦性は極めてエネルギッシュ。僅かにパワーアップされた直列6気筒ツインターボエンジンは、金属的なサウンドも追加され、昇天するような喜びに溢れていた。

M4 CSLと同じ直6で550ps 車内もアップグレード

オーバーステア傾向が、やや強すぎたことも事実。旋回中にアクセルペダルへ力を込めると、簡単にリアタイヤはスライドを始めた。冷たく湿った公道を積極的に運転する場合は、熱くなりすぎないよう、自らの気持ちを鎮めることが必要といえた。

間違いなく、素晴らしい後輪駆動のMだった。だが、僅かにヘビーでワイルドすぎた。

BMW M4 CS(欧州仕様)
BMW M4 CS(欧州仕様)

そして、2024年に登場したのがM4 CS。公道でのエネルギッシュさは、少しなだめられている。乗り心地はドライバーへ優しくなり、滑りたがりのリアアクスルのマナーも抑えられている。

フロントに載るエンジンは、M4 CSLと同じ直6 2996ccツインターボ。最高出力も550psで変わらない。

カーボンファイバー製のボンネットには、通常のモデルと差別化するべく2本のブラック・ストライプが与えられた。カーボンセラミック・ブレーキディスクが標準装備。リアのチタン製マフラーは、CSLのものをベースに改良されて組まれている。

ダンパーやスチールコイル・スプリングも専用品。スタビリティ・コントロールやステアリングも、CSの専用設定になっている。

インテリアも、各部をアップグレード。アルカンターラ巻きのステアリングホイールは、底辺がフラットの新アイテムだ。CSLから一層無駄が取り除かれた、カーボンファイバー製センターコンソールと、彫りの深いバケットシートが精悍な雰囲気を作る。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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