アメリカンな魅力 × ドイツ勢に並ぶ洗練性 7代目 フォード・マスタングへ試乗 ハイテクなマッスルカー

公開 : 2024.06.11 19:05

V8エンジンを残しつつ、歴代で最もハイテクになったフォード・マスタング アグレッシブな容姿にデジタルな車内 ドイツ製ライバルに劣らない乗り心地 マッスルカーの魅力は変わらず 英国編集部が評価

技術的な最高が目指されたマッスルカー

フォードマスタングは、約60年前の登場から述べ1000万台以上が売れた。アメリカ車の代表の1台だと、誰しもが考えているだろう。

目抜き通りを流したり、高速道路で大陸を横断したり、休日に轟音を撒き散らしたり、乗り方はそれぞれかもしれない。それでも、V8エンジンを載せた安価なクーペであり続けてきた。

フォード・マスタング GT(欧州仕様)
フォード・マスタング GT(欧州仕様)

最新のS650型マスタングにも、V8エンジンが載っている。英国価格は、ベースグレードのGTで5万5725ポンド(約1081万円)から。BMW M2より約1万ポンド(約194万円)、ポルシェケイマン GTSより約2万ポンド(約388万円)も安い。

サーキット志向のマスタング・ダークホースでも、6万7995ポンド(約1319万円)。アップグレード内容を考えれば、納得できるお値段だ。

市場によっては2.3L 4気筒ターボも設定されるが、英国へ導入されるのは、今のところV8のみ。自然吸気の5.0Lコヨーテ・ユニットだ。

歴代までの魅力を受け継ぎつつ、若い層にも選んで欲しいとフォードは考えている。そのため、従来以上にハイテクになった。車載CPUの処理能力は、先代の2倍だとか。

ドリフトを誘いやすい電子ハンドブレーキを採用し、ソフトウエアは無線通信でアップデート可能。大画面のメーター用モニターは、1970年代風のアナログメーターを描画することもできる。

マッスルカーとして、技術的な最高が目指されている。プラットフォームとパワートレインは、基本的には6代目、S550型のキャリーオーバーだが。

マスタングらしく、アグレッシブな容姿

全長は、先代から91mm長く4810mmで、全高は18mm低く1394mm。1916mmの全幅は変わらない。大きく、路面へ低く構えたスタンスと、短いリアオーバーハングのプロポーションはそのままだ。

マスタング・シェルビーGT500を手掛けたデザイナーのクリス・スティーブンス氏は、鋭い目つきのヘッドライトを与えた。フロントグリルはワイド化。3本のテールライトは、象徴の1つといえる。

フォード・マスタング GT(欧州仕様)
フォード・マスタング GT(欧州仕様)

フロントのトレッドは3mmプラス。リアのディフューザーなどで、これまでで最も空力特性を意識したデザインにもなっている。

美しいと感じるかは、人それぞれ。かなりアグレッシブで、繊細な印象は受けにくい。それでもマスタングらしいし、強く惹かれることは間違いない。

車内で最大の変化は、2連カウルのアナログメーターが、12.3インチのモニターへ変更されたこと。新しすぎるとお感じなら、クラシカルなグラフィックを選ぶことで解決できるかも。

背中へフィットするスポーツシートや、リムの太いステアリングホイールは変わりない。英国仕様の場合、最新のシンク4が稼働する、インフォテインメント・システムが標準装備。ダッシュボード中央に、13.2インチのタッチモニターが据えられる。

ゲームの開発プラットフォーム、アンリアル・エンジンというソフトウエアが利用され、インフォテインメント・システムの操作は覚えやすい。ドライブモードの切り替えは、アニメーションが凝りすぎているのか、少し反応が鈍かった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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