【検証】練馬区2歳女児死亡事故はなぜ起きた? ミニバンの窓スイッチ誤操作から子どもの命を守る、チャイルドシートの使用法
公開 : 2024.05.22 17:45 更新 : 2024.05.24 11:52
ベルトで子どもを拘束しなくては意味をなさない
チャイルドシートには
1.乳児用(後ろ向きで身長76cm頃まで)
2.幼児用(前向きで身長100cm頃まで)
3.学童用(前向きで身長100-150cm頃まで)
この3種類がある。
乳児用と幼児用はチャイルドシート本体をシートベルトやISO-FIXで座席に固定したあと、子どもを乗せて、子どもの体はチャイルドシート本体のハーネスを締めて固定する。
学童用は最近ではISO-FIXで座席に取り付けるタイプも増えているがまだ少数。主流はシートベルト1本で子どもの体と学童用ジュニアシートを「一緒に」固定するタイプだ。
背もたれあり(身長100cmから使用)と座面だけのブースターシート(同125cm以上で使用)の2種類があり、ブースターシートは正しく使用できてないケースが多く安全性は非常に低い。
実際、ブースターシートを使っていたのに子どもだけが内蔵圧迫で死亡した事例もある。
そして、今回の事故で2歳女児が使っていたチャイルドシートだが以下の2パターンが考えられる。
幼児用チャイルドシートを使っていたが、ハーネスがユルユルでハーネスの間から子どもが抜けだして窓から顔を出せる状態
ハーネスとはチャイルドシート本体についている2本の肩ベルトのことで、ほとんどの場合正しく使われていない。
ハーネスと子どもの体の間に大人の指1-2本が入る程度のキツさで締めなくてはならないが、ほとんどはハーネスが緩い状態で使用されている。
横転のような激しい衝撃を受けると子どもの体がすっぽ抜けて車外放出され路面にたたきつけられるか、後続車にひかれて亡くなる危険もある。急ブレーキ程度の衝撃でもハーネスの間から転げ落ちて床面に頭を打ち付けて重傷・死亡も珍しくない。
ハーネスやベルトの間からすり抜けて「脱出」する例も
もうひとつのパターンは、「チャイルドシートではなくジュニアシートを使っていた」可能性である。
ジュニアシートの体格にはまったく至らないわが子に対して、「場所を取らない」「取り付けが簡単」「子供が嫌がらない」などの理由で安全性を無視してジュニアシートを使いたがる保護者は意外と多い。
ジュニアシートには「背もたれのない座面だけのブースタータイプ」と「背もたれとヘッドサポートがついたフルバケットタイプ」の2種類があるが、前者は身長125cm以上(7-8歳)、後者は身長100cm~150cmまで使える仕様である場合が多い。
いずれにしても、前述したようにジュニアシートの固定はまだほとんどが「後席シートベルト1本で子どもの体とジュニアシート本体を同時に固定する」タイプである。
ミニバンの後部座席には衝撃を感知すると瞬時にシートベルトを巻き取ってがっちり拘束する3点式ELRシートベルトがついているはずだが、普段はベルトを締めていても簡単に抜け出すことができる。バックルから自分で外さなくても、肩ベルトの間から抜け出してジュニアシートの上に立っている子どもの姿も良く見かける。
また、チャイルドシートとジュニアシートの違いが判らず、オークションやリサイクルショップなどで「それっぽい形」のものを購入している可能性もある。
子どもの命を何だと思っているのか。