たった1年で販売終了? 米国の希少車 42選 前編 「大人の事情」で打ち切られたクルマたち

公開 : 2024.05.26 18:05

シボレー・シェベルZ16(1965年)

シボレーはシェベルの「Z16」パッケージについて、ディーラー側にしっかり告知する気はなかったようだ。Z16はシェベルのハードトップ仕様をベースに、最高出力375psの396立方インチ(6.5L)V8エンジンを搭載している。

マンシー4速トランスミッションと強化サスペンション、標準のシェベルよりも1インチ幅の広い6インチ幅のスチールホイールも装備された。ボディカラーはレッド、イエロー、ブラックがあり、合計200台しか生産されなかった。

シボレー・シェベルZ16(1965年)
シボレー・シェベルZ16(1965年)

シェルビーGT350 R(1965年)

車名の「R」が、このマシンについて多くを物語っている。シェルビーはフォードマスタングを必要最低限の装備にし、最高出力350psの289立方インチ(4.7L)V8エンジンを積んだ。出力数値は公式のものだが、400psに近いという説も多い。0-97km/h加速は5.5秒と、確かにハイパフォーマンスである。

GT350 Rのその他の特徴としては、軽量化されたプレキシガラス製サイドウインドウ、アメリカン・レーシング製トルクスラスト・ホイール、グラスファイバー製フードスクープ、アルミニウム製リアルーバーなどが挙げられる。サーキット専用で、公道走行可能な仕様は販売されなかったが、それでも1965年に34台が売れた。

シェルビーGT350 R(1965年)
シェルビーGT350 R(1965年)

トライアンフTR250(1967年)

戦後、米国の消費者は英国製の小型スポーツカーに夢中になり、最も人気のあるモデルの1つがトライアンフのTRだった。トライアンフはTR4の大型エンジン版がウケると考え、1967年にTR250(TR5とも呼ばれる)を米国市場に導入した。

2.5Lのフューエルインジェクション直列6気筒エンジンは魅力的なパフォーマンスを発揮するが、米国では排ガス規制のためにインジェクションではなくツイン・キャブレターが装着された。その結果、最高出力は150psから111psへ低下し、0-97km/h加速は10.6秒と、決して褒められたものではなかった。

トライアンフTR250(1967年)
トライアンフTR250(1967年)

トライアンフは1年後、TR250と入れ替わる形で、よりパワフルでスタイリッシュなTR6を導入した。

シェルビーGT500 KR(1968年)

車名のKRとは「キング・オブ・ザ・ロード(King of the Road)」の略である。自分のクルマをそう呼ぶなら、相応の実力を備えていてほしいものだ。1968年型シェルビーGT500 KRは、心臓部に最高出力335psの428コブラジェットV8エンジンを搭載しているが、これでは不十分だった。このエンジンはノーマル状態で400ps以上のパワーと66kg-mという強大なトルクで知られていたのだ。

シェルビーはスクープ付きのグラスファイバー製ボンネット、ディスクブレーキ、木製ステアリングホイールを採用。ロールバーも用意された。ファストバック1053台、コンバーチブル517台の合計1570台が生産された。

シェルビーGT500 KR(1968年)
シェルビーGT500 KR(1968年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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