たった1年で販売終了? 米国の希少車 42選 前編 「大人の事情」で打ち切られたクルマたち

公開 : 2024.05.26 18:05

プリムス・ロードランナー・スーパーバード(1970年)

プリムス・ロードランナーも決して小さくはないが、スーパーバードはまったく異次元の車だ。まるで本棚のような巨大なリアウイングと、ヘッドライトをリトラクタブル化したエアロダイナミクス・ノーズを組み合わせている。

ボンネットの下には最高出力425psの426立方インチ(7.0L)V8が搭載されているが、これはエアロパーツと同様、NASCAR競技用のホモロゲーションだった。公道仕様の0-97km/h加速は5.5秒、最高速度は240km/hに達する。1年限定で販売され、その生産台数は当初の想定(1920台)を上回る2783台。

プリムス・ロードランナー・スーパーバード(1970年)
プリムス・ロードランナー・スーパーバード(1970年)

AMCホーネットSC/360(1971年)

他社がまだまだ巨大なマッスルカーに熱中している頃、AMCははるかにコンパクトなホーネットSC/360を開発した。既存の2ドアモデルを出発点として、最高出力245psの360立方インチ(5.9L)V8を搭載。パワーは他のマッスルカーより控えめかもしれないが、重量を抑えたことでパフォーマンス向上につながった。

ホーネットSC/360のハンドリングは、ライバルに比べて非常に優れている。1/4マイルは14秒以内だったので、ドラッグレースでも存在感を発揮した。しかし、AMCの狙いが消費者に理解されなかったこと、石油危機が迫っていたことが重なり、販売台数はわずか784台にとどまった。

AMCホーネットSC/360(1971年)
AMCホーネットSC/360(1971年)

ダッジ・チャージャー・スーパービー(1971年)

オリジナルのスーパービーは1968年から1970年まで販売されたが、チャージャー・スーパービーは1971年にのみ販売された。新しいBプラットフォームをベースとし、チャージャーR/Tの下に位置する、より手頃なパフォーマンスモデルとしてラインナップされた。

とはいえ、340立方インチ(5.6L)から440立方インチ(7.2L)までのV8エンジンを搭載し、最高出力は275~425psと十分に刺戟的であった。

ダッジ・チャージャー・スーパービー(1971年)
ダッジ・チャージャー・スーパービー(1971年)

魅力的な価格設定、十分なパワー、充実した装備仕様、そしてボディに描かれた派手なグラフィックが相まって、販売に苦労することはなかった。1年で5054台が生産されている。

(記事は後編に続きます)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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