スマート#3 詳細データテスト クラス水準以上の動力性能 優れた基本設計 物足りない細部の仕上げ

公開 : 2024.05.25 20:25  更新 : 2024.05.31 19:42

内装 ★★★★★★★★☆☆

もはやスマートは、コンパクトカー専業ではないが、現在のデザイナーによれば、参入する全カテゴリーでベストなパッケージの乗用車を目指すという。#1の内装はその戦略を裏付けるもので、#3も同様だ。やはり、そこまで驚くほどのことではないが。

もちろん大型化は、必ずしもパッケージング改善の必須要件ではないが、ヘッドルームにこそ低いルーフラインとの妥協が多少あるものの、キャビンは広々している。前席は、体格のいい大人でも余裕がある。

光沢のあるプラスティックトリムは、いかにもメルセデスとの関連を感じさせる。プレミアム仕様には、ヘッドアップディスプレイも備わる。
光沢のあるプラスティックトリムは、いかにもメルセデスとの関連を感じさせる。プレミアム仕様には、ヘッドアップディスプレイも備わる。    JACK HARRISON

ただし、スポーティなルックスのシートが快適性の面で理想的とはいえないという意見も、テスター陣からは上がった。固定式ヘッドレストは、頭よりうなじあたりを支えることになる場合もある。また、座面は傾きやふとももサポートの調整が効かない。

後席は、大人でも十分のスペースがある。この価格帯のEVで、ここまで広いのは、それほど多くはない。アコモデーションのレベルともども、テスラモデル3に匹敵するが、ガラスルーフと頭皮との距離はやや近すぎる感じもする。

荷室は立派なものだが、それ以上に特筆すべきほどでもない。370Lの容量は、同クラスではいくつかの競合モデルを凌ぐが、やや浅めで、かさばる荷物を積むにはフロアボードを外したくなる。ただし、その下のスペースは充電ケーブル置き場として使いたい。フロントトランクは小さくて、あまり使い物にならないので。

キャビンには、派手でプラスティッキーな素材の光沢が目につき、メルセデスっぽさを感じさせるが、これは意図的なものだろう。ツヤのあるグレーのプラスティックは、ダッシュボードやセンターコンソール、ドアなどの広い範囲をカバーする。表面はなめらかではなく、丈夫そうで手触りがいい。しかし、それが魅力的かどうかの判断は、主観によるだろう。ただし、質感や組み付け、仕上げの水準は、おおむね良好だ。

12.8インチのインフォテインメント用タッチ画面は、ダッシュボード上部に設置され、ステアリングホイールの向こうにあるスリムだが使いやすいデジタルメーターと組み合わされる。プレミアムグレードでは、大きなヘッドアップディスプレイも備わり、運転関連の情報やナビの進行方向指示が、自然な視線の近くに表示される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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