「ゴージャス」と評したい乗り心地 新型 シトロエンC3へ試乗 市街地ではキビキビ!な1.0Lターボ

公開 : 2024.06.03 19:05

市街地ではキビキビ クラストップの快適性

パワートレインは、100psを発揮する1.2L 3気筒ガソリンターボで、発進加速は鋭い。ただし、高回転域ではターボブーストの効果が薄れ、ちょっと非力感が出てしまう。

市街地では、キビキビと気持ち良い。高速道路では、もう少し勢いが欲しいと感じるドライバーもいるだろう。

シトロエンC3 ピュアテック100(欧州仕様)
シトロエンC3 ピュアテック100(欧州仕様)

トランスミッションは、6速マニュアル。クラッチペダルの重み付けは丁度良く、シフトレバーの感触にはカッシリ感がある。あやふやだった印象がある従来のシトロエンとは、隔世の違いといっていい。

ちなみに、2025年にはマイルド・ハイブリッドが登場予定。同じ1.2Lターボをベースに、デュアルクラッチATに内蔵された電気モーターがアシストする。こちらにも、機会が来たら試乗したいところだ。

新世代では、サスペンションに油圧バンプストッパーを採用し、快適性の向上を可能な限り目指したと同社は主張する。その成果は明らか。乗り心地はゴージャスなほど滑らかで、このクラスのトップレベルにある。

試乗したのはオーストリアの平滑なアスファルトだったが、凹凸が目立つ区間でも落ち着きは乱さなかった。条件の悪い英国でも、快適だと感じるのではないだろうか。

ステアリングの正確性は高くなく、手のひらへ伝わる感触は希薄。電気モーター版より車重が軽いとはいえ、コーナーをダイナミックに駆け抜けたいと思えるタイプではない。

気張らない雰囲気が魅力 優れた価格価値

運転の楽しさではクリオが勝り、乗り心地も負けていない。それでも、シトロエンらしく気張らない雰囲気が、C3の大きな魅力。秀でた快適性を、高く評価する人も多いはず。燃費は、今回の平均で約14.5km/Lとなった。

英国価格は、ベースグレードのプラスで1万7790ポンド(約345万円)が見込まれている。マイルド・ハイブリッドも、2万ポンド(約388万円)を切るという。

シトロエンC3 ピュアテック100(欧州仕様)
シトロエンC3 ピュアテック100(欧州仕様)

タッチモニターにコンフォートシート、油圧バンプストップ付きサスペンションなどが英国仕様では標準。同等のクリオよりお手頃で、競争力は高い。1つ上のマックス・グレードはあるが、プラスでも不満はないだろう。

このクラスのコンパクトモデルをお考えなら、新しいC3を候補に加えてみて欲しい。全体的な完成度は高く、特に快適性が素晴らしい。シャープな走りならクリオかもしれないが、一般的なユーザーは、シトロエンのテイストの方がお好みだと思う。

価格価値に優れ、運転も充分に楽しい。1度試乗してみてはいかがだろう。

◯:コストパフォーマンスの高さ 秀でた快適性 充実した標準装備
△:シトロエンとしては個性が薄いスタイリング 運転の一体感が低め

シトロエンC3 ピュアテック100(欧州仕様)のスペック

英国価格:1万7790ポンド(約345万円/予定)
全長:4015mm
全幅:1755mm
全高:1577mm
最高速度:159km/h
0-100km/h加速:10.6秒
燃費:17.8km/L
CO2排出量:126-127g/km
車両重量:1151kg
パワートレイン:直列3気筒1199cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:100ps/5500rpm
最大トルク:20.8kg-m/1750rpm
ギアボックス:6速マニュアル(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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