Pゼロでさらに速く機敏に! マクラーレン・アルトゥーラ 長期テスト(4) じっとり濡れたカーペット

公開 : 2024.06.01 09:45  更新 : 2024.06.19 13:57

ステアリングは一層ダイレクトでピュアに

それが、エアコンの利用時に車内の気圧を一定に保つための、ボディの下側にあるエアベント。このシール部分から、雨水が侵入したという。大雨の中でも、構わず高速道路を何度も長時間走ったことで、水を防ぎきれなかったようだ。

スタッフによると、ほかの1台でも同様の水漏れが起きていたらしい。手早い作業でシール部分が密閉され、カーペットは乾かされ、アルトゥーラの車内は再び乾燥した空間に戻った。

マクラーレン・アルトゥーラ(英国仕様)
マクラーレンアルトゥーラ(英国仕様)

さて、計画していた変化というのは、前回触れたとおり、スタッドレスタイヤのピレリ・ソットゼロがサマータイヤのPゼロへ交換されたこと。冬の間、とても頼もしい存在だったが、これが本来はデフォルトの足になる。

変化ぶりは次回に詳しく触れたいと思うが、想像していたとおり、ステアリングは一層ダイレクトでピュアに転じた。グリップ力は、公道で限界へ追い込めるレベルの遥か上。穏やかなアンダーステア傾向の操縦性も、生まれ変わった。

サーキットを頻繁に走ることがない限り、ピレリPゼロ・コルサのようにソフトなタイヤを選ぶ必要はないと、筆者は考えている。公道走行に不可欠なウェット性能を犠牲にしてまで、実際には発揮させることがない水準へ、ドライ性能を高めても意味がないからだ。

新しいPゼロで最大限に謳歌しよう

アルトゥーラは、更に面白く速くなった。驚くほどの日常との親和性は、まったく変わらない。長期テストに残された時間は長くない。新しいPゼロを履いたからには、後悔しないよう、最大限に謳歌しようと考えている。

2024年の春は、好天が続くことを祈りたい。少し気は早いけれど、お別れはきっと辛いものになるだろう。

マクラーレン・アルトゥーラ(英国仕様)
マクラーレン・アルトゥーラ(英国仕様)

テストデータ

気に入っているトコロ

ピレリPゼロ:グリップとステアリングが見違えた。ゲームチェンジャーなタイヤだ。

気に入らないトコロ

乗り降りしにくい:新設計のモノコック構造でも、アルトゥーラの乗降性は従来のマクラーレンと変わりない。

英国価格

モデル名:マクラーレン・アルトゥーラ(英国仕様)
新車価格:18万9200ポンド(約3670万円)
テスト車の価格:22万1400ポンド(約4295万円)

テストの記録

燃費:10.3km/L
故障:クルーズコントロール用レバーの交換/フロアシールの交換
出費:なし

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・フランケル

    Andrew Frankel

    英国編集部シニア・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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