たった1年で販売終了? 米国の希少車 42選 後編 「大人の事情」で打ち切られたクルマたち
公開 : 2024.05.26 18:25
ジープ・チェロキー・リミテッド5.9(1997年)
ZJ世代のグランドチェロキーが寿命を迎えるにあたり、ジープはその最後を飾るモデルを仕立てた。標準のエンジンに代わって最高出力245psの5.9LマグナムV8が搭載され、0-97km/h加速6.8秒、1/4マイルを15.2秒で走る。
チェロキー・リミテッド5.9は、それまで米国で販売されたSUVの中で最速となった。外観上の特徴として、ボンネットのダクト、5本スポークの専用ホイールデザイン、大型マフラー、「Limited 5.9」のバッジがついている。1998年半ばに新しいWJ型が登場し、リミテッド5.9はわずか1年で生産終了した。
リンカーン・ブラックウッド(2002年)
SUVのナビゲーターの大ヒットに味をしめたリンカーンは、ピックアップトラックの高級化にも手を出した。クルーキャブのフォードF-150をベースに、ナビゲーターからフロントエンドを移植し、より高級感を出すためにウッド調のインサートを荷台側面に追加した。
リンカーンは設計過程でいくつかの重要なディテールを見落としていた。ブラックウッドには後輪駆動しか設定されず、カーペットが敷かれた荷台の上には、簡単に取り外せないプラスチック製トノカバーが被せられている。言い換えれば、雪道でのトラクション確保に苦労し、食料品やゴルフクラブ程度の荷物しか運べないトラックを作ってしまったのだ。
ブラックウッドは米国市場で2002年のモデルイヤーのみ販売された。今日、走行距離の多い中古車が7000ドルから出回っており、状態のいいものは1万3000ドルで手に入る。
メルセデス・ベンツR 63 AMG(2007年)
2007年のメルセデス・ベンツのラインナップには、Rクラスのようなファミリーカーと、E 63のようなAMGエンジン搭載の高性能モデルがあった。この2つの異なる世界が思いがけず衝突し、2006年のデトロイトモーターショーでR 63 AMGが発表された。6人が比較的快適に座れるワゴンでありながら、最高出力507ps、0-97km/h加速4.7秒の性能を誇る。
R 63 AMGは、2007年モデルイヤーに特別注文限定モデルとして販売された。生産台数は未公表だが、米国市場向けの約30台を含め、全世界で200台以下という意見もある。AUTOCAR記者の1人は、ユタ州ソルトレイクシティのメルセデス・ディーラーで働いていたときに運転したことがある。R 63は信号待ちから次の信号まで砲弾に乗っているような感覚だったらしい。
現在ではほとんど見かけなくなったが、中古のR 63は4万ドルから手に入る。