たった1年で販売終了? 米国の希少車 42選 後編 「大人の事情」で打ち切られたクルマたち

公開 : 2024.05.26 18:25

キア・ボレゴ(2009年)

キアは2008年のデトロイトモーターショーで、最大かつ最重量のSUVであるボレゴを発表し、2009年モデルとして発売した。タイミングは最悪だった。当時、世界的な金融危機で米国経済は逼迫し、消費者は大型で燃費の悪いクルマから低燃費モデルへの買い換えを進めていたのだ。

キアは年間2万台の販売を目指していたが、米国では1万台を販売するのがやっとだった。結局、2010年モデルイヤーで廃止となる。キアはボレゴの復活を示唆していたが、実現はしなかった。現在、同社最大のSUVは3列シートのテルライドである。

キア・ボレゴ(2009年)
キア・ボレゴ(2009年)

手頃なコンディションの中古車は、現在1万ドルから購入できる。

ポンティアックG3(2009年)

G3はポンティアック史上最も短命なクルマであり、最も忘れ去られたモデルの1つだ。シボレー・アベオ(デーウ・カロスのリバッジ車)のリバッジ車に過ぎず、選べるグレードも1種類のみだった。唯一のセールスポイントは、お買い得な価格だった。2009年に生産が開始され、年内に終了した。

現在、低走行の中古車が4000ドルから入手できる。

ポンティアックG3(2009年)
ポンティアックG3(2009年)

BMW 1M(2011年)

BMW 1シリーズMクーペ、略して1Mは、かゆいところに手が届くスペシャルモデルであった。M3がますます大型化・高級化するにつれて、BMW社内から手頃で軽快なマシンを求める声が高まっていた。そこで生まれたのが1Mであり、最高出力340psの3.0L直6と6速MTを搭載、0-97km/h加速は4.8秒、最高速度は250km/hだった。

M3 CSLのホイールを履き、フェンダーを広げてずんぐりとした1Mは、ある種の攻撃性をにじませている。その走りは顧客から絶大な支持を受け、生産台数は当初予定された2700台から6309台に膨れ上がった。

BMW 1M(2011年)
BMW 1M(2011年)

コーダEV(2012年)

カリフォルニア州を拠点とする新興企業コーダ(Coda)は電気自動車(EV)の普及を目指し、盲目的な投資家から数億ドルを集めた。テスラに続いて魅力的なEVを作ってくれると期待していた投資家たちは、ひどく失望することになる。

コーダ初の市販車は、ハフェイ・サイバオ(哈飛汽車・賽豹)という中国車をベースにしていた。サイバオは1990年代後半の三菱ランサーから流用したアーキテクチャーで作られたモデルである。

コーダEV(2012年)
コーダEV(2012年)

コーダは2012年3月にカリフォルニア州で自動車販売を開始し、2013年5月に破産を申請した。短い存続期間中に117台を販売したが、後にエアバッグの問題を解決するために全車リコールを余儀なくされた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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