たった1年で販売終了? 米国の希少車 42選 後編 「大人の事情」で打ち切られたクルマたち

公開 : 2024.05.26 18:25

BMW M3 CS(2018年)

米国では、F80世代M3をベースにした1年限りのBMW M3 CSを全国民で共有しなければならない。全世界でわずか1200台しか生産されなかったため、米国含めあらゆる場所で非常に珍しい存在である。従来のM3セダンと比べて特別なのは、最高出力460psと最大トルク61kg-mにパワーアップされたエンジンだ。

カーボンファイバー製パーツとドアガラスの薄型化により車重が100ポンド軽減されたCSは、0-97km/h加速3.7秒、最高速度280km/hを実現。トランクスペースも広く、実用的な4ドア・セダンだった。しかし、サスペンションが硬く、ミシュラン・カップ・タイヤを装着していたため、ほとんどの購入者は日常的に使うことがなかった。

BMW M3 CS(2018年)
BMW M3 CS(2018年)

フォルクスワーゲンパサートGT(2018年)

フォルクスワーゲンは2018年のデトロイトモーターショーでパサートGTと呼ばれるモデルを発表した。平凡なパサートのラインナップにスパイスを加えようとしたのだ。「GT」という呼称は、VR6エンジンの存在、ボディキット、グリルの赤いアクセントなどGTIに似たスタイリングを示すものだった。販売は2018年モデルイヤーに開始された。

2019年モデルイヤーでは、パサートの世代交代を目前に控え、ラインナップを簡素化することになった。3つのバリエーションが廃止され、その1つがGTだった。GTの廃止はまた、パサートの6気筒エンジンの終焉を意味する。パサートGTの中古車は現在、2万3000ドルから入手できる。

フォルクスワーゲン・パサートGT(018年)
フォルクスワーゲン・パサートGT(018年)

マクラーレン・エルバ(2021年)

エルバは英国のスポーツカーメーカー、マクラーレンが限定生産したスーパーカーだ。F1、P1、セナ、スピードテールに続く、同社の「アルティメット・シリーズ」の第5弾である。もともとはフロントガラスさえ付いていないが、購入時に追加することができた。米国の多くの州ではフロントガラスのないクルマは販売できないので、その点は都合が良かった。

4.0L V8で最高出力815psを発生するが、これはセナやスピードテールと基本的に同じユニットである。米国では2021年の1年間だけ、170万ドルという価格で販売された。

マクラーレン・エルバ(2021年)
マクラーレン・エルバ(2021年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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