極上「4.0L V8」へ最大限に浸れる! メルセデスAMG GT 63へ試乗 ダイレクトでドラマチック

公開 : 2024.06.06 19:05

2+2で四輪駆動になった2代目AMG GT 585psと81.4kg-mを発揮するV8エンジン 特別感がやや薄れたインテリア ダイレクト感やドラマチックさを追求した操縦性 英編集部が評価

AMG SLと並行して開発されたAMG GT

最新のメルセデスAMG GTでは、先代オーナーから寄せられた意見が大きく尊重された。「好きだとご評価いただいた部分はそのままに、改善が求められた部分へもすべて対応しました」。と、発表時のプレス向け資料では主張されている。

ただし、AUTOCARの読者にはこんな人もいた。先代のAMG GTは、スタイリングを気に入っていたという。だが試乗すると、濡れた路面でパワーを展開した瞬間、テールが滑り冷や汗をかいたとか。最終的に彼が選んだのは、ポルシェ911だった。

メルセデスAMG GT 63 4マティック+ プレミアムプラス(英国仕様)
メルセデスAMG GT 63 4マティック+ プレミアムプラス(英国仕様)

こんな意見は、盛り込まれていないのではないかと思う。それでも、AMG最新のスーパー・スポーツカーは、巧みにバランスを整えてきた。英国の公道で、仕上がりをじっくり確かめてみよう。

新しいAMG GTは、R323型のAMG SLと並行して開発が進められた。その結果、アルミニウム製スペースフレームとエンジン、インテリアの多くを共有している。

同時に、上級スポーツカー市場を最大限にカバーできるよう、可能な限りの差別化も図ったのではないかと思う。果たして、SLは+2のリアシートと四輪駆動を獲得し、実用性を向上。サスペンションを引き締め、スポーティさを引き上げた。

AMG GTは、というと、実はそこまで大きくは違わない。ロングノーズで後輪駆動の2シーター、というレシピは改められた。四輪駆動になり、車重は約250kg増えている。プラグイン・ハイブリッドのGT 63 S E パフォーマンスでは、それ以上重くなる。

585psと81.4kg-mを発揮する63のV8

全長は4728mm、全幅が1984mm、全高は1354mmとひと回り大きくなり、特に長さは約200mm伸びた。車内空間にはゆとりが生まれ、リアシートも与えられている。

スタイリングは、先代のイメージを受け継ぐ。ボディパネルは完全に新しいが、進化版としてのアイデンティティを漂わせる。

メルセデスAMG GT 63 4マティック+ プレミアムプラス(英国仕様)
メルセデスAMG GT 63 4マティック+ プレミアムプラス(英国仕様)

AMG SLと共有するエンジンは、4.0L V8ツインターボ。チューニングはAMG GT独自で、55では475psと71.2kg-m、今回試乗した63では、585psと81.4kg-mを発揮する。市場によっては4気筒ターボの43も設定されるが、英国には導入されていない。

インタークーラーの位置を改め、吸排気系とオイルパンを再設計。クランクケースにも、ベンチレーション機能が追加され、効率を高めている。トランスミッションは、エンジンに直接ボルトで固定された、9速湿式クラッチ・オートマティックだ。

リミテッドスリップ・デフに加えて、ブレーキ制御によるトルクベクタリング機能も採用。トランスアクスル構造ではなくなり、前後の重量配分は前寄りの54:46になった。

サスペンションは、前後ともアルミニウムを多用した5リンク式。AMG SLと同じく、スチールコイルと新開発のツインバルブ・アダプティブダンパーが支える。減衰特性は、AMG GTの専用設定だ。

アンチロールバーを油圧アクチュエーターに置き換えた、AMGアクティブライド・コントロールを実装。100km/h以下で最大2.5度リアタイヤの向きを変える、後輪操舵システムも標準装備される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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