EVはオフロードで重すぎ? 水素の可能性を信じるイネオス グレナディア・ハイドロジェンの試作車へ試乗

公開 : 2024.06.04 19:05  更新 : 2024.06.07 06:41

内燃エンジン車より悪路へ立ち向かいやすい

助手席には、チーフエンジニアのパメラ・アマン氏が座っている。彼は「ビギナー向けのオフローダーですよ」。と水素FCVのグレナディアを説明するが、それでも唸るほどの走破性だと思う。

ドライブトレインは驚くほど静か。各タイヤがどのように路面を掴んでいるのか、音でも理解しやすい。それに合わせてパワーを展開できるため、内燃エンジン車より悪路へ立ち向かいやすいのではないだろうか。

イネオス・グレナディア・ハイドロジェン(プロトタイプ/英国仕様)
イネオス・グレナディア・ハイドロジェン(プロトタイプ/英国仕様)

BMWのエンジンを積んだグレナディアと乗り比べてみたが、走破性は同等といって良かった。むしろ正確に運転できるため、有利かもしれない。アマンは、トラクションがかからなければトルクを展開できないため、優れた精度が対応力を高めると話す。

量産仕様では、フロントのロッキングデフは降ろされ、リアと同様に2基のモーターが左右を受け持つ可能性が高いという。高度な電子システムが、4本のタイヤを個別に制御することになる。

それにより、一層メカニズムは簡素化される。プロトタイプ以上に、走破性も引き上げられるだろう。

カルダーは、このクルマの可能性を信じている。「水素はとてもエキサイティングなものですよ。(内燃エンジン車と)同等の機能を備えながら、実質的にゼロ・エミッションなクルマを作れるのですから」

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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