モーターは「ホイール」の中! べデオ・ランドローバー・ディフェンダー EVへ試乗 低価格化へつながる?

公開 : 2024.06.24 19:05

ディフェンダーのエレクトロモッドで電動化技術をアピール バッテリーEVの設計にも革命を与える?インホイール・モーター 軽量化と小型化、低価格化へつながる可能性 英編集部がデモ車両へ試乗

バッテリーEVの設計にも革命を与える?

クラシックカーのバッテリーEV化、エレクトロモッドは、すべての人が賛同するコンバージョンとはいえない。特徴的なエンジンを失ったクルマは、本来の魂を抜かれたも同然、と考える読者はいらっしゃるだろう。

今回試乗した初代ランドローバーディフェンダーも、エレクトロモッドされている。エンジンだけでなく、トランスファーやドライブシャフト、ロッキングデフも取り除かれた。これを従来のモデル名で呼んで良いのか、という疑問が湧いてくる。

べデオ・ランドローバー・ディフェンダー EV(プロトタイプ/英国仕様)
べデオ・ランドローバー・ディフェンダー EV(プロトタイプ/英国仕様)

ただし、AUTOCARでしばしば取り上げる例とは若干異なる。新しいバッテリーEVの設計にも影響を与える可能性を持つ、現実的で汎用性の高い電動化技術が盛り込まれているからだ。

このディフェンダー 110を仕上げたのは、グレートブリテン島南部、ファーンハムに拠点を置くベデオ・グループ。同社はバッテリーの生産と電動化システムを専門とするベデオ社と、電気モーターを生産するプロティアン・エレクトリック社で構成される。

彼らがデモ車両で試みた技術が、インホイール・モーター。4本それぞれのホイールの内側へ、駆動用モーターが組み込まれている。

メリットは、より緻密に前後左右のパワーを調整できるだけではない。バッテリーEVのアーキテクチャ自体にも、革命をもたらす可能性があるという。

軽量化と小型化、低価格化にもつながる技術

シャシー側へ駆動用モーターを搭載しないことで、アクスルやドライブシャフト、サブフレームなどが不要になる。簡素化されたプラットフォームには、駆動用バッテリーをコンパクトに搭載できる。その結果、全高を抑えることも可能になる。

インホイール・モーターは、バッテリーEVの軽量化と小型化につながる。ひいては、低価格化も実現できるとベデオ・グループは主張する。

べデオ・ランドローバー・ディフェンダー EV(プロトタイプ/英国仕様)
べデオ・ランドローバー・ディフェンダー EV(プロトタイプ/英国仕様)

グレー・グリーンに塗られたディフェンダー 110が履くのは、スポークの細い18インチ・ホイール。その内側にあるシルバーの塊が駆動用モーターで、インバーターも内蔵するそうだ。

1基当たりの重さは約30kgあり、最高出力は80psで、最大トルクは66.1kg-m。運転しやすいよう、ソフトウエアが50%以下に調整しているというが、0-100km/h加速は10.0秒を切る。最高速度は128km/hがうたわれる。

駆動用バッテリーの容量は75kWhで、従来のドライブトレインが降ろされた空間と、シャシーレールの間へ分割して実装。航続距離は246kmで、急速充電能力は最大50kWへ対応する。

ドライブシャフトやアクスルが省かれた結果、駆動用バッテリーを載せても、車重は大きく増えていないとか。実際どんな印象なのか、試乗させていただいた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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