【9500rpmで750ps】 最先端技術でレストアのシンガー911 コーンズが米シンガー社と日本での代理店契約
公開 : 2024.05.26 07:05
ポルシェ911を突き詰めたシンガー社が日本に上陸。コーンズと結ばれた代理店契約によって、日本でレストアを依頼する場合、同社サポートチームが窓口となり、今後車両の専門的なサービスやメンテナンスも受け持ちます。
最先端の技術を盛り込んだレストア
空冷ポルシェ911オーナーの要望を取り入れ、最先端の技術を盛り込んだレストアを行うシンガー・ヴィークル・デザイン(以下シンガーと称す)が、コーンズ・モータースと日本での代理店契約が結ばれたことが発表された。
シンガーはカリフォルニアを本拠とするラグジュアリー・スペシャリストで、「Reimagined by Singer=再構築されたポルシェ911」を手掛けることで知られる。
「A Relentless Pursuit of Excellence:エクセレンスの追求に終わりはない」、このモットーにシンガーの哲学が込められている。自らが選んだテーマを究極の形で表現したいという、その想いがシンガーの原動力となっている。
シンガーはオリジナルを忠実に再現するレストレーションを行うのではなく、911にオマージュを捧げつつ、現代に相応しいパフォーマンスと洗練性を備える再構築されたモデルを送り出すことが特徴だ。
同社では完成車の販売は行わず、オーナーが所有するポルシェ911(964)を持ち込み、希望する内容を最先端のテクノロジーとクラフトマンシップを駆使して究極のレストアが行なわれる。
ベースの964から再利用されるのはシャシーと一部のボディパーツ、そしてクランクケースだけ。このほかの部分はシンガー社で新たに製作されたパーツで構成される。
シャシー部分を再利用するため、ベース車両は手頃な価格で防錆処理に優れ、リアサスペンションが930と同型の964が選ばれている。そのため過去には4輪駆動やティプトロニック仕様も製作されている。
ディキンソンの想いからスタート
現在シンガーは、アメリカのロサンゼルスとイギリスのコヴェントリーに開発製造部門があり、総勢600名が活動する。F1のウイリアムズ・エンジニアリングとのパートナーシップにより最先端テクノロジーで開発されている。
シンガーの創業者であるロブ・ディキンソンは、子供の時に家族が運転するビートルを追い越していった緑色のポルシェ911に感銘を受け、究極の911を造ることを決意する。
ディキンソンは、「シンガーを設立して以来、私たちの使命はポルシェ911の素晴らしさと伝統を称えること」を基本理念としてきた。ちなみに社名はディキンソンが1990年代にミュージシャンだったことに由来する。
こうして2009年のモントレーウイークにシンガーの1号車となる911が披露され、リイマジンド=再構築という新たな方向性が評価され大きな反響を得る。
最初の5年間は技術者と設備の関係から50台しかこなせなかったが、増え続けるオーダーに対応して施設と技術者を拡充して現在の規模になったという。
最初に送り出されたクラシック・スタディは、1973年カレラRS 2.7をオマージュしたモデル。限定450台はすべて完売になっており、希少性を保つため再生産はされない。
2018年に934をオマージュしたダイナミクス&ライトウェイト・スタディ(DLH)が75台限定でリリースされた。こちらも完売となり販売終了となっている。
2022年に初のターボモデルとなるターボ・スタディ、2023年にはDLWにターボを追加された。将来的にナローを創りたいとディキンソンが述べている。
DLW以外のモデルは、一見すると変わっていないように見えるが、実際には徹底的に手が加えられている。ボディパネルはCFRP製に換えられ大幅な軽量化を実現。エンジンもクランクケース以外はシンガー自製となる。