【日本でも販売して!】 本格オフローダー「日産パラディン」 専用テインサスで走破性爆上げ

公開 : 2024.05.27 17:45

パラディンの20周年記念特別仕様車を試乗。

用意された試乗車は200台限定の「記念版」と特別グレード「頸酷版」の2種。

最初に通常の足回りを持つ「頸酷版」でコースを一周したが、十分に良い走りを体感できたのには驚いた。日産オフロード車ならではのサスペンションやシャシー設計がしっかりと生かされており、タイトな路面でもしっかりと掴んで前に進んでくれた。

本格オフローダー「パラディン」
本格オフローダー「パラディン」

その後、専用設計のテイン製車高調整式ショックアブソーバー「4×4 DAMPER GRAVEL 2」が組まれた「記念版」に乗ってみると、スタート直後からその違いに気づく。

オフロード走行の経験が少ない筆者にもそれをすぐに感じられるほどだ。一番の違いはモーグル区間で頸酷版ではややオーバーに揺さぶられる印象があり、揺れが収まらないうちに次のモーグルに突入を繰り返す感じだったが、記念版ではテインのショックアブソーバーが奇麗にその揺れを吸収。

不安感もなくドライバーや同乗者の疲労軽減にもつながると感じた。難易度の低い路面でももちろん安定感は絶大でテイン未装着車と比較してよりアクセルを踏めるようになった。

昨今の中国の消費者はクルマの本質的要素である「乗り心地」や「操縦安定性」よりも、電動化知能化によるわかりやすい加速性能や、インフォテインメントの充実さでクルマを評価する傾向にある。

その一方で本格的な悪路走破を可能とするオフロード車の需要が高まっていることもあり、鄭州日産は今回の特別仕様車で「本当に使えるオフロード車」とは何か? を中国の消費者に問いかけているとも感じた。

人気絶好調のトライトンベースの「新生パジェロ」の良いライバルに?

パラディンはランクルやジムニーなどSUVとしては希少な存在となった「ラダーフレーム構造」を採用している。

多くのSUVがプレミアム化、電動化と同時に軽量モノコック構造を採用する中、ラダーフレームは本格オフローダーの証ともいえるもの。本当に悪路走破を可能とする手頃な価格の実力派SUVとしてぜひパラディンのようなクルマを日本で販売してほしいと思うのは私だけではないだろう。

本格オフローダー「パラディン」
本格オフローダー「パラディン」

ラダーフレーム構造の本格クロカン4×4といえばランクルやジムニーの大人気はよく知られるところだが、日本で2017年に発売されたトヨタハイラックス、2024年2月に発売されたばかりの三菱トライトンは2車種ともにタイで生産されるWキャブのピックアップトラックで全長5.3m超の堂々としたサイズだ。

そしてこの2車種ともに日本で予想を上回る人気となっている。トライトンに至っては三菱の販売台数最下位から浮上させた立役者だ。

そして、このトライトンをベースにした「新生パジェロ」の登場も2026年頃に噂されている。そこにパラディンが加われば…現在はランクル一強のヘビー級本格オフローダーの世界がまた盛り上がりそうである。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    加藤ヒロト

    Hiroto Kato

    山口県下関市生まれ、横浜在住。慶應義塾大学環境情報学部に在学するかたわら、各自動車メディアにて「中国車研究家」として中国の自動車事情について「クルマ好き」の視点で多様な記事を執筆する。また、自費出版で中国モーターショーのレポート本「中国自動車ガイドブック」シリーズも手掛けている。愛車は1998年型トヨタ カレンと1985年型トヨタ カリーナED。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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